二項分布とは(Binomial Distribution)
二項分布(Binomial Distribution)とは、互いに独立したベルヌーイ試行をn回行ったときに、ある事象が何回起こるかの確率分布です。
例えば、「コインを5回投げた時に表2回出る確率」、「対戦ゲームで90%の確率で当たる技を10回中8回当てる確率」などを表した確率分布です。
また、ベルヌーイ試行がの回数が1回のとき(すなわちn = 1のとき)、二項分布はベルヌーイ分布となります。
二項分布の公式まとめ
二項分布の基本的な公式は以下となります。
積率母関数 | MX(t)=(etp+1−p)n |
確率質量関数 | P(X=k)=(nk)pk(1−p)n−k |
分布関数 | F(x)=∑k=0x(nk)pkqn−k |
特性関数 | (peit+q)n |
キュムラント母関数 | nlog(pet+q) |
期待値 | E(X)=np |
分散 | V(X)=np(1−p) |
最頻値 | p(n+1)−1≦x≦p(n+1) |
歪度 | npqq−p |
積率母関数を用いた期待値・分散の導出はこちら
確率質量関数を用いた期待値・分散の導出はこちら
指数型分布族の性質を利用した期待値・分散の導出はこちら
確率質量関数を用いた最頻値の導出はこちら
歪度・尖度の導出はこちら
二項分布と正規分布の関係
二項分布B(n.p)はnが十分に大きいとき、平均np、分散np(1−p)の正規分布に近づきます。
また、np(1−p)X−npは近似的に標準正規分布に従います。これをド・モアブルー・ラプラスの定理といいます。
二項分布と多項分布の関係
多項分布とは、二項分布を一般化した確率分布です。
確率変数(ベクトル)X=(X1,X2,...,Xk)が以下の結合関数を持つ時に従う確率分布を、パラメータn,P=(p1,p2,...,pk)の多項分布といいます。
多項分布の確率密度関数
f(x1,x2,...,xk)=x1!x2!...xk!n!p1x1 p2x2... pkxk (xi≥0,x1+...+xk=n)
ただし、nは整数であり、pi>0(i=1,2,...,k),p1+p2+...+pk=1
k=2の時の多項分布の確率関数は二項分布と一致します。
二項分布の共役事前分布
共役事前分布とは、ベイズ統計を扱う際に、複雑な計算を回避するために考えられた事前分布です。
共役事前分布を用いて事後分布を求めると、事後分布が事前分布と同じ分布になるという特性があります。
二項分布は指数型分布族に属するため、ベータ分布を共役事前分布に持ちます。
データを取ってくる母集団の確率分布が二項分布であるとき、事前分布にベータ分布を設定すれば、事後分布もベータ分布となります。
関連記事
積率母関数を用いた二項分布の期待値・分散の導出
確率質量関数を用いた二項分布の期待値・分散の導出
確率質量関数を用いた二項分布の最頻値の導出
二項分布の歪度と尖度の導出
ベルヌーイ分布の分かりやすいまとめ
多項分布とは?期待値・分散・共分散の導出も解説