ベイズ統計と仮説検定2~ベイズ統計の基本的な仮説検定~
ベイズ統計の仮説検定を全6回で説明をします。このページは第2回です。
第1回:ベイズ統計と仮説検定【1】~頻度論との違い~
第2回:ベイズ統計と仮説検定【2】~ベイズ統計の基本的な仮説検定~
第3回:ベイズ統計と仮説検定【3】~頻度論の考え方に基づくベイズ統計の仮説検定~
第4回:ベイズ統計と仮説検定【4】~ベイズファクター~
第5回:ベイズ統計と仮説検定【5】~点帰無仮説におけるベイズ流の仮説検定~
第6回:ベイズ統計と仮説検定6~ベイズ流仮説検定の問題点~
このページでは、ベイズ統計における仮説検定の基本的な考え方を説明します。
ベイズ統計における仮説の棄却と受容
第1回の「ベイズ統計と仮説検定①~頻度論との違い~」では、ベイズ統計においてデータが得られた上で帰無仮説を満たす確率がであることを説明しました。
ここからは、どのように仮説検定を進めるかを説明します。
例えば、帰無仮説、対立仮説を以下のようにおきます。
また、データを得た後の事後分布が次にのようになったとします。
データを得たもとでの、を満たす確率はそれぞれ以下のようになります。
赤い部分が、青い部分がです。青い部分の方が、赤い部分よりも確率が大きいです。
つまり、データを得たもとでの帰無仮説を満たす確率よりも、対立仮説を満たす確率の方が大きいと言えます。
よって、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。
従来の仮説検定では、「帰無仮説を棄却しない=帰無仮説が正しいと判断する」ということは言えませんでしたが、仮説が成り立つ確率を直接算出するベイズ統計の検定では、このことが成立します。
ベイス統計における仮説検定の例題
では、実際に例題を用いてベイズ統計における仮説検定を考えましょう。
例題
1枚のコインがあります。このコインを5回投げたところ、表が4回出ました。このコインの表の出る確率は以下と言えるでしょうか。
ただし、事前のデータで、表の出る確率はに従っているとします。
表の出る確率をpとし、帰無仮説と対立仮説を以下のように設定します。
事前分布ははに従っているので、事後分布は平均のに従います。
補足
事前分布がに従っているとき、事後分布は、
平均:
分散:
のベータ分布に従う。ただし、は表の出た回数である。
詳細は「ベルヌーイ分布の事後分布の平均と分散」をご確認ください。
グラフにすると以下のようになります。
よって、帰無仮説を満たす確率よりも、対立仮説を満たす確率の方が大きいので、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。
よって、表の出る確率はよりも上である、と判断します。(厳密には、積分して確率を求めましょう。)
まとめ
ベイズ統計における仮説検定では、仮説が成り立つ確率を直接計算して検定を行います。これが従来の仮説検定との大きな違いとなります。
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カテゴリ: ベイズ統計
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AVILEN編集部
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