NECネッツエスアイが計139名にDX人材研修を実施、全社DXネイティブ化への足掛かりに
NECネッツエスアイ株式会社(以下、NECネッツエスアイ)は、DX事業ブランド「Symphonict」のもと、顧客の働き方やまちづくりを変革し、企業や自治体・社会インフラをはじめとする様々な顧客の「デジタルシフトによる価値創造・課題解決」の実現に取り組んでいます。
今回は、NECネッツエスアイのビジネスデザイン統括本部(※)に所属し、社内のDX人材育成研修の企画・実施を推進した、田中様と佐々木様にお話をお聞きしました。
(写真左)ビジネスデザイン統括本部 ビジネスデザイン戦略本部 マネージャー 田中様
(写真右)ビジネスデザイン統括本部 ビジネスデザイン戦略本部 佐々木様
※ビジネスデザイン統括本部はインタビュー時点(2023年3月)の名称であり、現在は、DXソリューション事業本部。
NECネッツエスアイが取り組むDX
– NECネッツエスアイのDX方針について教えてください。
当社はDX事業ブランド「Symphonict」のもと、お客さまの働き方やまちづくりを変革し、企業や自治体・社会インフラをはじめとする様々なお客さまの「デジタルシフトによる価値創造・課題解決」の実現に取り組んでいます。
中期経営計画「Shift up 2024」では、前中期経営計画で取り組んできた「デジタル×次世代ネットワーク」の実証を社会課題の解決に向けたサービスとして具現化し、お客さまとの共創関係 をより複雑で大きな課題に一緒に取り組んでいく戦略パートナーへと進化させていきます。
ビジネスモデルについても、お客さまと常に伴走するリカーリングな関係を築き、提供価値を高めていくことで、スパイラルに事業を成長させていくモデルへと発展させていきます。
このような取り組みにより、新中期経営計画では、新たな社会価値を創造し、持続可能で、 豊かに響きあう社会“Sustainable Symphonic Society”の実現を目指します。
– 田中様・佐々木様が所属するビジネスデザイン統括本部は、どのような役割を担っていますか?
全社のCX・DX事業を牽引し 継続的な変化をドライブし続ける戦略を立案・推進、「全社のDXネイティブ化」に向けたDX人材育成を担当しています。
また、全社として「デジタル×次世代ネットワーク」の実証を進めるうえで、ビジネスデザイン統括本部は先進的な案件創出や新しい成長領域を作ることがミッションであるため、先行的にDX人材の早期育成が必要な部門でもあります。
ビジネスデザイン統括本部が推進するDX人材育成
– 今回の人材育成施策が発足した経緯を教えてください。
ビジネスデザイン本部においては、上述のとおり先行的にDX人材の早期育成が急務であり、ポテンシャルのある人材を階級や年齢に捉われず発掘・強化育成が必要でした。
また、既存事業領域の担当部門においても、隣接領域からDX人材へとシフトし、DI事業では技術スキルそのものではなく技術をコーディネートしてビジネスモデルを作ることができる人材へのアップスキリングが必要になる、という背景から今回の取り組みが発足しました。
– 今回の人材育成研修のパートナーとしてAVILENを選んだ理由を教えてください。
DX人材育成研修を企画するにあたり、データサイエンス領域が足りなかったので、データサイエンス系の教育事業を行っている企業を調べていたところ、教育事業だけでなくAI開発事業も行っているのがAVILENでした。
教育を実施した後、一緒にAI開発プロジェクトを立ち上げたり、協力ベンダーとしてご一緒したりなど、将来的な共創を考えたときにAVILENを選択させていただきました。
DX人材育成研修の詳細
今回、NECネッツエスアイでは、第一期と第二期に分けてDX人材育成研修を実施しました。それぞれの期について、企画の概要や実施後の課題についてお聞きします。
第一期の実施概要
ビジネスデザイン統括本部を中心に、DXに関わる部署を対象にして実施。
職種や学びたい領域に併せて、3コースを用意し、計48名が参加。
ビジネスコース(参加:21名)
AIの基礎とビジネス活用の基礎を学ぶ
受講講座:AIビジネス研修
トランスレーターコース(参加:18名)
Pythonプログラミング、機械学習モデリングを学ぶ
受講講座:データサイエンティスト研修
テクニカルコース(参加:9名)
機械学習のモデリングから、時系列データの深層学習モデル実装までを学ぶ
受講講座:データサイエンティスト研修 / ディープラーニング領域特化研修
– 第一期の研修実施時に苦労したことはありますか?
各受講者の通常業務をそのままに本研修の受講を進めたため、各自のやる気や適性の有無によって進捗にばらつきが多く、進捗のフォローに苦労しました。
受講者用のSlackチャンネルを立ち上げ、情報発信や小まめなリマインドを実施し、進捗に応じて上層部を巻き込みながら個別フォローするなどの対応を行いました。
– 受講生からの反響にはどのようなものがありましたか?
受講後のアンケートでは、約82%の受講者から「DX提案に関する知識が深まった」という回答を得ることができました。
– 第一期を終えて、見えた課題にはどのようなものがありましたか?
人材の早期育成を目的として、計画を立ち上げながら進めた部分があったため、研修企画時に当社としてのDX人材の定義・本研修の位置づけを明確にできておらず、受講生への学習の納得感を醸成できてなかったことが課題となりました。
第二期には、IPAの人材の定義に照らし合わせ、当社に必要なDX人材と習得すべきデータサイエンス領域のスキルを定義し、受講生への説明を実施することにしました。
第二期の実施概要
第一期の反省をふまえ、研修対象となる人選や履修における課題を改善。全社員がリテラシーを持つことを目標とし、DX関連部門に加え、既存事業に関わる部門へ研修対象を拡張。
第一期実施後、ビジネスコース履修者の「もう少しデータの中身を見たい」「実践に踏み込みたい」という意見と、トランスレータコース履修者の「先にビジネス課題やデータの定義をしっかり踏まえたい」という意見を総合的に考慮し、「ハイブリッドコース」を新設し、計91名が参加。
【新設】ハイブリットコース(参加:27名)
AIビジネス活用からPythonによる機械学習モデリングまでを学ぶ
受講講座:AIビジネス研修 / データサイエンティスト研修
ビジネスコース(参加:33名参加)
トランスレーターコース(参加:17名)
テクニカルコース(参加:14名)
– 第二期の研修実施時に苦労したことはありますか?
受講者数が約2倍となり、かつ、普段DXやAIに関する業務がまだ少ない事業部の受講者が多かったため、第一期以上に進捗にばらつきが発生し、メンバーへのフォローが第一期より手薄になってしまいました。
– 受講生からの反響にはどのようなものがありましたか?
受講後のアンケートでは、約90%の受講者から「DX提案に関する知識が深まった」という回答を得ることができました。
– 第二期を終えて、見えた課題にはどのようなものがありましたか?
受講者数や対象部門の増加に伴い、受講者に対して本研修を実施するにあたって会社からの期待度が伝わりきらなかった点や、「履修完了」が目的になってしまい、時間と共にモチベーションが低下してしまった点が課題として残りました。
今後の取り組み
– 第三期の実施にあたり、どんなことを企画中ですか?
学んだことの実践、実践プロジェクトや社内での実践の前段階として「挑戦の場」を創出し、チャレンジ奨励と人材発掘をするために「AIコンテスト」や「道場」の新設を検討中です。
一期生・二期生ともに、学びっぱなしとなり、時間と共に研修で習得したことを忘却してしまうという課題が発生しています。学んだことを実践するために、実践プロジェクトの立ち上げを遂行しているが、時間がかかり、参加できるメンバーも限られます。
そこで、実践プロジェクトの前段階として、実践課題を自由に試せる場というものを作ったらどうかと考えています。楽しいテーマに挑戦する受講生を増やし、次世代人材発掘の場としても活用していきたいと思います。
おわりに
第一期、第二期で提出された企画から実践プロジェクトが立ち上がるなど、研修実施の成果が少しずつ現れています。
AVILENは、より実践的な研修の提供とAIプロジェクトのコンサルティングを通じて、NECネッツエスアイ様のDX推進をご支援して参ります。
記事の筆者
AVILEN編集部
株式会社AVILEN