【AI変革事例_金融業界】「思考力を鍛える生成AI活用研修」で次世代リーダーの思考力を引き上げ

管理職候補層を対象に、生成AIを「思考を深めるパートナー」として活用し、次世代リーダーの思考力向上を実現したAI人材育成事例です。
生成AIを答えを出すツールではなく、問いを深める伴走者として活用する実践型研修を実施。
思考プロセスの体系化と実務演習を通じて、自律的に課題を構造化・解決できる人材育成と、組織全体のAI活用文化の醸成を支援しました。
監修者

株式会社AVILEN
専門役員 ビルドアップチームマネージャー / コンサルタント
外資系コンサルティング企業にて、人事組織開発事業部に所属し、大手企業を中心に改革を支援。大学及び大学院でのAI・機械学習を研究した背景も合わせ、DX推進室の立ち上げからAI人材育成まで幅広く経験。 AVILENにて、AI開発におけるチームのマネジメントに従事したのち、現在は企業の人材組織開発を推進するビルドアップチームのマネジメントを担う。
課題
ある生命保険会社では、社内へのCopilot導入が進む一方で、若手社員の思考力育成機会が限定的なままという課題を抱えていました。
管理職候補層となる入社6〜7年目の若手は支社営業への配属が多く、体系的に思考力を鍛える機会が不足しがちです。また、思考力育成が個人の経験や上司の属人的な指導に依存しているため、組織間でのばらつきも生じていました。
そこでAVILENは、生成AIを「答えを出す道具」ではなく「問いを深めるパートナー」として活用し、若手が自律的に考える力を磨く実践型研修を提案。AI活用と人材育成を接続し、次世代リーダーの知的生産性を組織全体の力へと波及させることを目指しました。
ソリューション
次世代のチームリーダー・管理職候補層(入社6〜7年目)15名を対象に、対面形式の研修「生成AI×思考力で創る、次世代リーダーの仕事術」を実施しました。
- 思考プロセスの体系化
成果を出す人材に共通する4つの思考力(現状を構造化する力・本質から考察する力・解決策を構想する力・ストーリーを構成する力)を体系的に整理し、自身の得意・弱点を認識できる構成としました。 - 生成AIを思考の補助輪として活用
AIに回答を委ねるのではなく、問い・背景・前提条件を適切に提示し、思考を深化させる伴走者として使いこなす方法を実践的に習得しました。 - 実務直結の演習設計
業務を想定したケースを通じ、学んだ思考をアウトプットへとつなげるワークを組み込み、受講直後から実務適用できる設計としました。
成果
研修後のアンケートでは、実務へのAI活用・思考力の重要性について意識が変容した受講者が多数見受けられました。
- 営業現場でのAI活用の手応え
「今やっている業務の3割くらいは生成AIが刺さると思う。若手はもちろん、ベテラン職員にもぜひ受けてほしい」「営業現場でもAIを活用できそうという手応えを得られた」など、実務適用を前向きに捉えるコメントが複数寄せられました - 「思考の補完ツール」としての認識転換
「最も大きな学びは、論理的な思考の、自分の弱い部分の補完にこそ活用すべきだということ」「生成AIの話というよりは思考力の話がとてもよかった」など、AIを効率化ツールではなく思考の高度化に使う視点の獲得が確認されました - 管理職登用に向けた意識変容
思考力の重要性を体系的に認識したことで、次世代リーダーとしての自覚を促す機会となりました。
まとめ・考察
本事例の特徴は、「AIリテラシー研修」ではなく「AIを軸に思考力を鍛える」点に特化した点にあります。生成AIを効率化ツールとして扱うのではなく、思考プロセスそのものに組み込む設計は、管理職候補層の育成という文脈において高い親和性を発揮しました。
受講者から「ベテランにも受けてほしい」という声が上がったことは、この研修が個人の学びにとどまらず、組織全体のAI活用文化を底上げする可能性を示しています。
また、AIが業務の代替手段として語られがちな中、本事例は「人間の思考力をAIで引き上げる」というアプローチでAX(AI変革)の本質に迫っています。
AIと人の思考が融合し、若手が自律的に課題を構造化・仮説構築できるようになることは、組織の意思決定の質そのものを変える構造的な変化です。
今後は今回の知見をもとに、受講者レベルに応じたプログラムの拡充が期待されます。AIを「壁打ち相手・構想パートナー」として日常的に活用する文化が組織全体に浸透することで、AIファーストな次世代リーダーが育つ好循環が生まれていくでしょう。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。





