【AI変革事例_金融業界】大手金融機関でRAG活用を最大化、行内ナレッジを「AIリーダブル」に再構築

大手金融機関で、RAG活用を最大化するために行内ナレッジを「AIリーダブル」な形式へ再構築したAI人材育成事例です。
生成AI時代のナレッジマネジメント研修を通じて、RAGの原理原則とAIが理解しやすいデータ整備手法を体系的に習得。
全社員がAIリーダブルなナレッジを生み出せる基盤を構築し、組織全体のAI活用レベル向上を支援しました。
監修者

株式会社AVILEN
専門役員 ビルドアップチームマネージャー / コンサルタント
外資系コンサルティング企業にて、人事組織開発事業部に所属し、大手企業を中心に改革を支援。大学及び大学院でのAI・機械学習を研究した背景も合わせ、DX推進室の立ち上げからAI人材育成まで幅広く経験。 AVILENにて、AI開発におけるチームのマネジメントに従事したのち、現在は企業の人材組織開発を推進するビルドアップチームのマネジメントを担う。
課題
大手金融機関をはじめ多くの企業で、RAG(検索拡張生成:社内独自のナレッジをAIに参照させる仕組み)をはじめとする生成AIの導入が加速しています。
しかし、導入後も「回答精度が上がらない」「現場で活用されない」という壁にぶつかるケースが後を絶ちません。
その最大の原因は、モデルやツールの性能ではなく、参照する「データの状態」にあります。行内のナレッジは長年「人間が読みやすいこと」を基準に管理されており、全体を一目で把握できる樹形図や更新情報がつぎ足しされてきた(過去の情報もすべて記載されている)ドキュメントなど、AIにとっては情報のつながりや最新性の判断が困難な形式で蓄積されていました。
そこでAVILENは、大手金融機関における行内ナレッジのRAG活用の最大化を目的に、「生成AI時代のナレッジマネジメント研修」を先行導入。
AIが正しく情報を認識・活用できる「AIリーダブル(AI Readable)」なデータ構造化手法を体系的に習得できる環境を構築し、組織全体のAI活用レベルの底上げを支援しました。
【関連プレスリリース】AVILEN、RAG活用を最大化する「生成AI時代のナレッジマネジメント研修」を提供開始~AIが正しく情報を抽出・理解できる「AIリーダブル(AI Readable)」なデータ構造化手法を体系的に習得~
ソリューション
AVILENが提供した「生成AI時代のナレッジマネジメント研修」は、RAGの原理原則の理解と、実務に直結するデータ整備技術を2日間で両立させた実践型プログラムです。
ナレッジマネジメント(KM:組織内の知識を体系的に蓄積・共有・活用する取り組み)の基礎理論から、AIが理解しやすい形式へのデータ加工技術まで、体系的に習得できる構成になっています。
- RAGの仕組みと「データの重要性」の本質的な理解
「なぜAIがそのデータを読み取れないのか」というRAGの内部的な仕組みを学習。ツールやモデルに依存せず、精度の高い回答を導き出すための「理想的なデータの状態」を自ら定義できるスキルを習得 - 「AIリーダブル」へのデータ整備プロセス
非構造化データをAIが正確に抽出・理解できる形式へと修正する具体的な技術を習得。人間の読みやすさを優先した従来のドキュメントを、AI親和性の高い形式へと再構築する実践的スキルを体得 - 全6種の実践ワーク
「AIリーダブルなドキュメントへの書き換え演習」に加え、自部署の課題を棚卸しした上での「ナレッジマネジメント計画の策定」など、受講後すぐに実務の運用体制を構築できるアウトプット重視のカリキュラムを実施
単なるツールの使い方の学習にとどまらず、「なぜ」から始まる原理原則の理解が、研修の核心に据えられています。
成果
大手金融機関での先行導入において、実務における極めて高い有効性が確認されました。
行内ナレッジのRAG活用の最大化という目標に対し、プログラムが実務上の課題解決に直結することが実証されています。
この成果の背景には、受講者が「なぜAIがデータを読み取れないのか」という原理から理解を深めたことが挙げられます。
ツールの操作方法だけを教える研修とは異なり、原理を理解した社員は自ら「理想的なデータの状態」を定義し、日々のアウトプットそのものを変えていきます。
一部の管理職・専門職だけでなく、データを日々生み出す全社員がAIリーダブルなアウトプットを意識することで、組織全体のAI活用レベルの底上げが着実に進んでいます。
まとめ・考察
この事例が際立っているのは、RAGの精度改善という課題に対して、ツールやモデルの見直しではなく「データそのものの在り方を変える」というアプローチを採ったことです。
AIリーダブルという概念を軸に、全社員が日々のアウトプットの質を変えていく――この発想は、テクノロジーの更新ではなく人と組織の変容を起点にしている点で、他の多くのAI導入事例には見られない本質的なアプローチです。
この事例は、業務の一部にAIを取り入れるという段階を超え、AI活用を前提に組織の知識生産プロセスそのものを再設計した点で「AI変革(AX)」と呼ぶにふさわしい取り組みです。
ナレッジの生み出し方・蓄積の仕方という組織の根幹に関わるプロセスが変わり、全社員レベルでAIとの協働を前提とした働き方へのシフトが始まっています。この構造的な変化が組織全体に定着しつつあること自体が、AXの本質的な成果です。
今後はAIエージェントが自律的に業務を支援する未来に向け、AIリーダブルなナレッジ基盤の整備はますます重要性を増します。
「Copilot Agent Builder」を活用した実践編など、技術の進化に合わせたプログラムの拡充も予定されており、AIファーストな組織づくりをさらに加速させる基盤が整いつつあります。
本事例は、データを起点に競争力を高めるAXの先行事例として、金融業界にとどまらず多くの企業に示唆を与えるものです。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



