【AI変革事例_食品製造業界】生成AI研修を通じた全社的な業務プロセス変革と人材育成

キリンホールディングスが、生成AI研修を通じて全社的な業務変革とAI人材育成を推進した事例です。
約600名を対象とした実践型研修を実施し、単なる知識習得ではなく、実務で使えるプロンプト設計や業務適用までを支援。
その結果、月2,200時間の労働時間削減と450件超の活用事例創出を実現し、現場主導でAI活用が広がる組織基盤を構築しました。
※本記事は、プレスリリース(『AVILEN、キリンホールディングスに生成AI研修を提供 〜社員の生成AI活用スキルを向上し月2,200時間の労働時間削減に成功〜』)をもとに作成しています。

監修者

株式会社AVILEN
専門役員 ビルドアップチームマネージャー / コンサルタント
外資系コンサルティング企業にて、人事組織開発事業部に所属し、大手企業を中心に改革を支援。大学及び大学院でのAI・機械学習を研究した背景も合わせ、DX推進室の立ち上げからAI人材育成まで幅広く経験。 AVILENにて、AI開発におけるチームのマネジメントに従事したのち、現在は企業の人材組織開発を推進するビルドアップチームのマネジメントを担う。
課題
キリングループでは、長期経営構想「KV2027」において「価値創造を加速するICT」を掲げ、グループ全体のあらゆる領域で生成AIやデジタル技術を活用した業務プロセスの変革を目指していました。
徹底的な効率化と新たな価値創造を実現するためには、一部の専門家だけでなく、現場の社員一人ひとりが生成AIを使いこなす「ビジネスアーキテクト」としての能力を備える必要があります。
しかし、単にツールを導入するだけでは実務への定着が難しく、具体的な業務課題に即した活用スキルをいかに組織全体へ浸透させるかが大きな課題となっていました。
ソリューション
この課題に対し、AVILENはキリングループのDX推進プログラム(DX道場)の一環として、以下の実践的な生成AI研修を提供し、スキルアップの基盤構築を支援しました。
- 独自開発の生成AI研修プログラムの実施
グループ各社約600名を対象に、1人あたり約10時間の集中的な学習プログラムを提供。生成AIの基礎知識から、実務応用のためのプロンプト思考までを体系的に網羅しました。 - 実務適用を促す研修後課題の設計
座学で終わらせず、受講生が自身の現在の業務で活用できるプロンプトを実際に作成・検証するプロセスをカリキュラムに組み込み、実務へのスムーズな移行をサポートしました。
AVILENは「学んで終わり」にさせないカリキュラムを提供することで、社員が自力で業務改善をスタートできる状態を作り上げました。
成果
研修を受けた社員が実務でプロンプトの検証・活用を自律的に進めた結果、組織全体で以下の大きなインパクトを創出しています。
- 月2,200時間の労働時間削減を実現
社員の生成AI活用スキルが向上したことで、1名あたり月平均約3.6時間、グループ全体で月約2,200時間の労働時間削減に成功しました。 - 450件以上の活用事例をナレッジとして蓄積
研修後の取り組みとして、社員が実務で検証した結果をレポート形式で集約。
「報告書のたたき台作成」「翻訳を伴う議事録要約」「活動記録からの好事例抽出」など、450件を超える具体的な成功パターンがグループの資産として可視化されました。
単なる時短効果に留まらず、現場からこれほど多くの活用事例が自発的に生まれたことは、社員一人ひとりがAIを「自分の武器」として捉え、業務プロセスを変革する文化が根付いたことを証明しています。
まとめ・考察
本事例の核心は、生成AIの導入を単なる「ツールの配布」に留めず、「現場社員の習熟」と「実務での試行錯誤」をセットで推進した点にあります。
450件を超える活用事例が現場から上がってきた事実は、適切な教育機会さえあれば、現場主導でボトムアップの業務改善が十分に可能であることを示しています。
また、これらの事例をレポートとして集約する運用を徹底したことで、個人のスキルが「組織のナレッジ」として形式知化された意義は極めて大きいと言えます。
この先、こうした「自分たちでプロンプトを書き、業務を改善していく」という経験を積んだ人材がさらに増えていくことで、組織全体のデジタル・リテラシーは確実に底上げされます。
それは単なる効率化を超え、AIを前提とした新しい働き方や、より高度な価値創造へ向かうための盤石な土台となっていくでしょう。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



