【AI変革事例_不動産業界】土地価格予測AIの精度向上と開発チームの自走化支援

土地価格予測AIの精度向上と、AI開発チームの内製化を実現したAI開発支援事例です。
実務OJTを通じてモデリング技術やAIプロジェクト推進ノウハウを共有し、予測精度の改善とAPIパフォーマンスの高速化を実現。
その結果、わずか3ヶ月でAI開発チームが自律的にプロジェクトを推進できる体制を構築しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
業界大手の不動産企業では、土地の適正価格を算出する「価格予測モデル(回帰分析予測モデル)」の実用化を目指していました。
しかし、社内にAI開発のプロジェクト経験者が不在であったため、開発に必要な知見やスキルが不足しているという根本的な課題を抱えていました。
特に、実用化に向けた「精度の壁」の突破と、WebAPIのレスポンス速度の改善が大きな障害となっていました。
新設されたデータサイエンティストチームが実際のデータを用いて検証を進めていたものの、土地価格という難易度の高いテーマにおいて、実用レベルに達するための具体的な手法を模索している状況でした。
ソリューション
AVILENは、実務経験豊富なデータサイエンティストを派遣し、単なる受託開発ではなく、将来的な内製化を見据えた「伴走型のOJT(On the Job Trainig)サポート」を実施しました。
- 実践的な技術指導と知見の共有
モデリング技術やWebAPI化、AIプロジェクトマネジメントの知見を直接共有しました。 - 効率的な検証サイクルの確立
シチュエーションに応じた評価方法を指導し、精度の壁を突破するための仮説検証サイクルを定着させました。 - 多角的なマネジメント支援
開発実務だけでなく、プロジェクト全体の進め方やPM業務のサポートも行いました。
長期にわたる支援を通じて、新設チームが実際の業務課題を解決しながらスキルを習得できる環境を整えました。
成果
徹底した伴走支援により、技術面と組織面の両方で目覚ましい成果が得られました。
技術面では、予測誤差を9%前後まで抑えることに成功し、実用レベルの精度を達成しました。また、12秒を要していたAPIの応答時間を1秒未満へと大幅に改善し、実務でストレスなく利用できるシステムパフォーマンスを実現しています。
組織面においては、支援開始からわずか3ヶ月でチームが自律的にプロジェクトを推進できる「自走可能」な状態へと成長しました。
現在は、支援なしでも社内の他プロジェクトを自律的に遂行できるほどの高い内製化レベルに到達しており、企業の競争力を支える強力なAI推進体制が構築されました。
まとめ・考察
本事例の大きな特徴は、AIモデルという「成果物」の提供以上に、それを生み出し、改善し続ける「組織の能力」を構築した点にあります。
土地価格予測という難易度の高い領域において、精度の向上とシステムパフォーマンスの改善を同時に成し遂げたことは、非常に高い技術的成果と言えます。
この取り組みが真のAI変革と言える理由は、外部に依存し続ける構造を脱却し、自社でPDCAを回せる「内製化」を完遂した点にあります。
確立された実験検証サイクルと高度な開発スキルは、今後のさらなる事業拡大に向けた大きな武器となります。
今後は、この自走したチームが新たなユースケースを次々と創出し、不動産業界におけるデータ駆動型経営を牽引していくことが期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。




