【AI変革事例_金融業界】法人顧客の離脱防止と獲得効率化を支援するAIシステム

株主名簿管理業務における顧客企業の離脱リスクや他社からの契約獲得可能性を、多角的なデータ解析により可視化したAI開発事例です。
会社情報や財務情報に基づき算出した高精度な予測スコアを営業のアクション指針として提供することで、経験則に頼らないデータ主導のセールス体制を構築し、既存契約の維持と新規獲得の効率化を同時に実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
上場企業は株主名簿管理人(証券会社等)を1社選定し専属契約を結ぶため、株主名簿管理人は、現在契約している企業の離脱を防ぎつつ、他社と契約している企業を自社に獲得することが重要です。
しかし、離脱リスクや獲得可能性を見極めることは難しく、営業担当者が戦略的にアプローチするには、各企業の状況に基づいた予測と適切なタイミングでの行動が求められます。
膨大な数の上場企業を対象とする中で、どの企業が「今」アプローチを必要としているのかを営業の経験則だけで判断するには限界があり、データに基づく客観的な優先順位付けが不可欠な状況にありました。
ソリューション
AIを用いて多角的なデータを解析し、営業担当者が次に取るべきアクションを可視化する予測モデルを構築しました。
- 多角的なデータに基づく予測モデルの構築
- AIを活用し、会社情報、財務情報、取引情報を基に、企業の離脱リスクや契約獲得の可能性を精緻に予測します。
- AIを活用し、会社情報、財務情報、取引情報を基に、企業の離脱リスクや契約獲得の可能性を精緻に予測します。
- 判断根拠の分析とアクション指針の提供
- 各情報が離脱・獲得スコアにどう影響しているかを分析し、営業担当者へ具体的なアクションの指針を提示。
- 各情報が離脱・獲得スコアにどう影響しているかを分析し、営業担当者へ具体的なアクションの指針を提示。
- スコアリングによる営業活動の最適化
- AIが算出したスコアを基に、どの企業に対して重点的にケアすべきか、あるいは積極的にアプローチすべきかの判断を強力に支援します。
成果
本システムの導入は、営業現場の意思決定プロセスをデータ主導へと変え、実効性の高いセールス体制の構築に寄与しました。
- 高精度な予測と現場の厚い信頼
- 評価指標であるAUC(Area Under the Curve)において0.75という高精度を達成。営業担当者へのアンケートでは、80%が「AIによる判断が必要」と回答し、現場のニーズに合致した仕組みとなりました。
- 評価指標であるAUC(Area Under the Curve)において0.75という高精度を達成。営業担当者へのアンケートでは、80%が「AIによる判断が必要」と回答し、現場のニーズに合致した仕組みとなりました。
- 営業戦略の高度化と契約状況の改善
- 営業チームがデータに基づいた戦略的なアプローチを展開できるようになったことで、既存契約企業の維持および新規契約の獲得が促進されています。
単なるツールの導入ではなく、営業一人ひとりがデータ裏付けを持って動けるようになったことで、組織全体の営業効率が抜本的に向上しました。
まとめ・考察
本事例の特徴は、金融業界特有の「専属契約」というビジネスモデルにおいて、属人的な営業勘を「予測スコア」という客観的な指標へ昇華させた点にあります。
企業の財務状況や取引履歴という静的なデータを、営業現場で使える動的な「アクションリスト」へと変換し、営業活動そのものをデータドリブンなものへとアップデートしたことも印象的です。
担当者の勘に頼る営業スタイルから脱却し、組織として最適なタイミングで最適なリソースを投入できる体制を実現しました。
今後は、AIが提示する予測結果と実際の成約結果のフィードバックループをさらに回すことで、精度のさらなる向上が期待されます。
また、この予測ロジックを別の金融商品やクロスセル提案にも応用していくことで、LTV(顧客生涯価値)を最大化させるためのトータルな営業支援基盤へと発展していく可能性を秘めています。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



