【AI変革事例_IT業界】動画の「空気感」をAIが読み解く、演出自動生成の高度化

動画の感情や文脈を解析し、テロップや効果音を自動生成するAIを開発した事例です。
音声・画像・テキストを統合したマルチモーダル解析により、従来は困難だったシーンの「空気感」をAIが理解し、最適な演出を自動提案。
演出精度を40%以上改善し、手作業に依存していた編集工程の自動化と生産性向上を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
YouTubeなどの動画編集を自動化するプロダクト開発において、シーンに合わせた「演出の自動付与」が大きな壁となっていました。
当初は既存の感情分析ツールを活用して検証を進めていましたが、分析可能な範囲は動画全体のわずか10%程度に留まっていました。
多くのシーンが「解析不能」と判断されてしまうため、自動編集としての実用性が乏しく、動画の文脈や盛り上がりを正確に捉えてテロップや効果音を最適化できる、より高度な解析モデルの構築が求められていました。
ソリューション
限定的だった解析範囲を広げるため、単一のツールに頼るのではなく、複数のデータソースを統合して判断するマルチモーダルな解析システムを構築しました。
- LLMによる感情の深層理解
抽出された情報を生成AIに連携し、発言ごとの感情の種類や強さを精密に推定。これにより、シーンに応じた演出ラベルの付与を実現しました。 - 多角的なタイムライン解析
発話内容の文章解析に加え、声のトーン(音声解析)や映像の動き(画像解析)を組み合わせ、動画の全編にわたって詳細な解析情報を付与しました。 - 文脈に即した演出のサジェスト
解析された感情ラベルに基づき、そのシーンに最もふさわしいテロップのフォントや効果音をAIが自動的に提案する仕組みを実装しました。
成果
こうした多面的なアプローチにより、動画解析の精度は飛躍的に向上しました。
従来の外部ツールを活用した手法と比較して、40%以上の精度改善を達成しています。
これにより、これまで解析が困難だったシーンでも適切な演出を自動で導き出せるようになりました。
単なる文字起こしの域を超え、動画の「楽しさ」や「驚き」といった抽象的な文脈をAIが理解できるようになったことで、クリエイターが手作業で行っていた演出工程の大部分を自動化し、編集作業の生産性を抜本的に高める基盤が確立されました。
まとめ・考察
本事例の特筆すべき点は、既存のAIツールの限界を「データの多角化」で乗り越えた点にあります。
文字・音・映像という異なる性質の情報を掛け合わせることで、人間が直感的に行っていた演出判断をデジタルに再現することに成功しました。
今後は、この高精度な解析データを活用し、視聴者の反応を予測した編集の最適化や、膨大な素材からのショート動画自動生成など、さらなるビジネス展開が期待されます。
AIがクリエイターの創造性を最大化させる、次世代の編集プラットフォームとしての展望が開けたといえます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。




