【AI変革事例_IT業界】音声認識と生成AIによるWeb配信の即時翻訳・自動レポート作成

Web配信の音声をリアルタイムで翻訳し、レポートまで自動生成するAIを開発した事例です。
音声認識と生成AIを組み合わせ、文字起こしから要約・英訳までを一貫して自動化し、従来は人手に依存していた業務を再現。
作成時間を約5時間から10分へ短縮し、コスト削減と情報提供のスピード向上を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
IT・通信業界において投資家向けのIR全般をサポートするサービスを展開する企業では、四半期ごとに集中する決算発表会への対応が大きな負担となっていました。
日本全国で同日に数十件も開催される説明会や株主総会の内容を、人手ですべて視聴し、文字起こしから英訳、レポート作成までを行っていたため、以下のような課題が顕在化していました。
- 膨大な工数とコスト
日々開催される膨大なWeb配信に対し、文字起こしやレポート作成をすべて手作業で行う必要があり、多額の外注費や人件費が発生していました。 - 情報提供のタイムラグ
配信終了からレポート完成までに約半日を要しており、スピードが命である投資情報の提供において、さらなる迅速化が求められていました。 - 運営の複雑性
多くの作業をアルバイトに委託していたため、そのシフト管理などの間接的な業務負荷も無視できない状況にありました。
ソリューション
AVILENは、音声認識技術と生成AIを組み合わせ、Web配信の参加URLを登録するだけでレポート作成までを完結させるWebアプリケーションを開発しました。
- 即時翻訳・レポート作成の自動化
システムが配信に入り込み、リアルタイムで音声認識を実行。配信終了と同時に、AIが内容を要約し英訳レポートを自動生成する仕組みを構築しました。 - 専門用語への対応と構造化
専門用語辞書を作成することで、高度な内容が含まれるIR情報でも精度の高い翻訳を実現。さらに、質疑応答などの複雑なやり取りも、QA形式で分かりやすくサマライズする機能を搭載しています。 - 完全自動化ワークフロー
URL登録から配信後のレポート送付まで、人の仲介を必要としない一連のフローを確立しました。
成果
本システムの導入により、レポート作成業務は劇的な効率化を遂げました。
- 作成時間の圧倒的短縮
従来は約5時間を要していたレポート作成時間が、わずか10分へと短縮されました 。これにより、海外投資家への情報提供スピードが飛躍的に向上しています。 - レポート作成にかかるコストの劇的な削減
アルバイトに委託していた際のコスト(約1万円/件)に対し、システムによる自動化後は約100円/件と、コストを100分の1にまで圧縮することに成功しました。 - 品質の均一化と管理負荷の解消
個人のスキルに依存していた翻訳やサマライズの品質がAIによって均一化され 、同時に煩雑だったシフト管理業務も解消されました。
まとめ・考察
本事例は、生成AIと音声認識を組み合わせることで、従来「人手に頼らざるを得ない」と考えられていた高度な知的作業を、短期間で完全に自動化した優れたAI活用の形です。
特筆すべきは、単なるコスト削減に留まらず、情報提供のリードタイムを極限まで短縮した点にあります。
決算期に集中する膨大な情報処理をAIが肩代わりすることで、企業はこれまで対応が難しかった数の案件を扱えるようになり、ビジネスのスケールを加速させることが可能となりました。
今後は、蓄積された文字起こしデータやレポートを基に、特定企業の過去の傾向分析や、業界横断でのトレンド予測など、二次的なデータ活用による新たな付加価値サービスの創出へつながることが期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。






