【AI変革事例_小売・流通業界】画像生成AIによるパッケージデザイン制作の効率化

食品パッケージデザインの初案作成を、画像生成AIで効率化したAI開発事例です。
感性キーワードを指定するだけでAIが数十〜数百のデザイン案を生成し、デザイナーは生成された案をベースにブラッシュアップするワークフローを構築しました。
その結果、初案作成にかかる期間を従来約1ヶ月から2〜3日へ短縮し、デザイン制作のリードタイムと人件費の大幅削減を実現しています。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
食品パッケージなどの制作を担うデザイン現場では、新商品のコンセプトを視覚化する「デザインの初案作成」が業務の大きな負担となっていました。
- 膨大な試行錯誤と工数
デザインの方向性を固めるためには相当量の候補案を作成しなければならず、一つのプロジェクトに多大な時間を費やしていました。 - 専門スキルへの依存
デザイン制作には高度な専門スキルが必要なため、限られたデザイナーに業務が集中し、慢性的な人件費の高騰を招いていました。 - リードタイムの長期化
初案が完成するまでに通常1ヶ月程度の期間を要しており、スピーディーな商品展開の足かせとなっていました。
ソリューション
AVILENは、指定したキーワードから瞬時に多種多様なデザイン案を生成できる、画像生成AIを活用したソリューションを開発しました。
- 感性キーワードによる自動生成
「かわいい感じ」「クールな雰囲気」「高級感のあるスタイル」といった、抽象的な感性キーワードを指定するだけで、AIが文脈を汲み取ります。 - データドリブンによる市場最適化
過去の販売統計や市場トレンドを分析し、「売れるパッケージデザイン」をAIが逆算して提案。データに基づいた、市場に刺さるデザイン案を優先的に生成します。 - 圧倒的なバリエーションの提示
一度の操作で数十から数百通りのデザイン新案を瞬時に生成。これにより、デザイナーがゼロから描き起こす手間を省き、AIが生成した案をベースにブラッシュアップする体制へ移行しました。 - プロンプトエンジニアリングの最適化
パッケージデザイン特有のレイアウトや色彩感覚を再現できるよう、AIへの指示出し(プロンプト)を最適化し、実用性の高いアウトプットを実現しました。
成果
本ソリューションの導入により、デザイン制作のワークフローに劇的な変化が起きました。
最も顕著な成果は、これまで約1ヶ月を要していた初案作成期間が、わずか2〜3日へと大幅に短縮されたことです。
AIが瞬時に大量の候補を出すことで、クライアントとの合意形成(方向性の決定)が迅速化されました。
これに伴い、デザイナーの稼働工数が最適化され、人件費の大幅な削減に成功しています。
組織全体としては、単純な「案出し」のフェーズをAIに任せ、人間は「最終的なクオリティの追求」や「戦略的なコンセプト立案」に注力できるようになるなど、より高付加価値な業務へのシフトを実現しました。
まとめ・考察
本事例は、生成AIが持つ「ゼロから一を創り出すスピード」を最大限に引き出した好例です。
クリエイティブな業務において、AIを敵対的な存在ではなく、思考を拡張する「デジタル・アシスタント」として組み込んだ点が成功の鍵と言えます。
専門スキルを持つ人材の不足という業界課題に対し、AIがベースラインを引き上げることで、経験の浅い担当者でも質の高い議論に参加できるようになったことは、特筆すべきです。
今後は、蓄積されたデザインデータや市場のトレンドをAIにさらに学習させることで、より「売れる」確率の高いデザインを予測・生成するフェーズへの発展が期待されます。
デザイン制作からマーケティングまでをAIで繋ぐことで、製造・小売業における商品開発のあり方は、今後さらにアップデートされていくでしょう。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



