【AI変革事例_IT業界】「システムの番人」から「変革の旗手」へ。IT子会社が挑んだ存在意義の再定義

保守運用中心だったIT子会社が、グループ全体のAI戦略を担う組織へ転換したAI変革事例です。
組織・人材・データ基盤を含む包括的な戦略を再構築し、DXを推進するための体制と役割を明確化。
その結果、グループ横断で価値を創出する変革パートナーへと進化し、実効性の高いAI活用ロードマップの策定を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
多くの大手企業グループにおいて、ITシステム子会社は長年、既存システムの保守運用を主な役割としてきました。
しかし、AI技術の急速な進展やDXの加速に伴い、グループ本体や各事業部が独自に外部ベンダーと連携して開発を進めるケースが増加。
システム子会社は上流工程に関与できず、存在意義や付加価値が問われる危機に直面していました。
本事例のクライアントも、グループ全体のAI活用が十分に進んでいない一方で、自社が変革の主体になれず、組織としてのケイパビリティ(能力)や文化の停滞に課題を抱えていました。
このままではグループ内での価値を最大化できないという強い危機感のもと、組織・人材・技術の全方位にわたる抜本的な戦略再構築が求められていました。
ソリューション
AVILENは、システム子会社が「グループの変革パートナー」へと進化するための包括的な戦略策定を支援しました。
単なる技術導入の提案ではなく、以下の多角的な視点から課題を洗い出し、戦略を具体化させています。
- 組織・人材・文化の変革設計
従来の保守型文化から脱却し、攻めのDXを推進できる組織の在り方を定義しました。
必要な人材像やケイパビリティを明確化し、内製化を見据えた育成・採用戦略を策定しています。 - グループ強みを活かした課題解決シナリオの構築
システム子会社が持つ現場への深い理解と、親会社の事業ドメインにおける強みを掛け合わせ、どのような領域でAIを活用すれば価値を最大化できるかを特定しました。 - データ・システム基盤の戦略立案
グループ全体のデータを統合的に活用し、持続的なAI開発を可能にするためのシステム構成やデータ基盤の在り方を整理しました。
成果
戦略の策定を通じて、システム子会社がグループ内で果たすべき役割と、変革への具体的な道筋が明確になりました。
- グループ横断的なDX推進体制の基盤構築
各事業部が個別最適で進めていた取り組みを、システム子会社がハブとなって統合・支援するための戦略的なポジションを確立。
これにより、グループ全体の投資効率とスピードの向上が見込める状態になりました。 - 提供価値の再定義による組織活性化
「保守運用」から「価値創造」へとミッションを再定義したことで、組織の方向性が一新されました。
これは単なる計画策定にとどまらず、従業員の意識変革やカルチャー醸成を促す大きな一歩となっています。 - 実効性の高い変革ロードマップの策定
短期的なクイックウィンと、中長期的な組織能力の向上を両立させたマイルストーンを設定。
組織・人材・データの三位一体で変革を進めるための具体的な指針を得ることができました。
まとめ・考察
本事例の特筆すべき点は、AIという「技術」の導入を目的とするのではなく、システム子会社という「組織」そのものをAI時代に適応させるための構造改革に挑んだ点にあります。
多くの日本企業が抱える「IT子会社のレガシー化」という根深い課題に対し、戦略策定を通じて上流工程への関与を促し、存在意義を再定義したことは、真のAI変革と言えるでしょう。
この取り組みは、特定の業務効率化に留まらず、グループ全体の意思決定の質や事業競争力を根底から支えるインフラとしての進化を意味しています。
今後は策定した戦略を具現化し、AIエンジニアの育成や実案件への適用を加速させるフェーズへと移行します。
この変革が成功すれば、他業界のシステム子会社にとっても、生き残りと価値向上のためのバイブル的なモデルケースとなるはずです。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。







