n次ARモデルとは
n次ARモデルは次のように表されます。ある時点のデータytに対してn時点前までのデータyt−nがモデルに用いられていることが分かります。
yt=ϕ0+ϕ1yt−1+ϕ2yt−2+⋯+ϕnyt−n+ϵt ... ①
ただしϵtは分散σ2のホワイトノイズとする。
n次ARモデルを考えることで、n時点前までのデータを用いた分析が可能になります。
n次ARモデルの統計量
n次ARモデルの期待値
定常性を持つn次ARモデルは期待値、自己共分散を持ちます。そのため以下では定常なn次ARモデルについて考えます。
yt=ϕ0+ϕ1yt−1+ϕ2yt−2+⋯+ϕnyt−n+ϵt
上記のn次ARモデルの両辺に対して期待値をとると以下のように表すことができます。
E[yt]=E[ϕ0]+E[ϕ1yt−1]+E[ϕ2yt−2]+⋯+E[ϕnyt−n]+E[ϵt]
モデルが定常であるとき、どんなt に対してE[yt]= μ 、また E[ϵt]=0であることを用いると、期待値E[yt]は次のようになります。
E[yt] =ϕ0+ϕ1E[yt]+ϕ2E[yt]+⋯+ϕnE[yt]= 1− ϕ1− ϕ2 −⋯−ϕn ϕ0
n次ARモデルの自己共分散
まずn次ARモデルの分散V[yt]を求めてみましょう。期待値と同じようにn次ARモデルの式①から分散V[yt]を考えます。
yt=ϕ0+ϕ1yt−1+ϕ2yt−2+⋯+ϕnyt−n+ϵt
上記の式の両辺の分散をとります。
V[yt] =V[ϕ1yt−1]+V[ϕ2yt−2]+⋯+V[ϕnyt−n]+V[ϵt]=ϕ12V[yt−1]+ ϕ22V[yt−2]+ ⋯+ ϕn2V[yt−n] +σ2
定常であるとき、どんなtに対してもV[yt]= γ0であるから、分散は以下のようになります。
V[yt]=1− ϕ12−ϕ22− ⋯− ϕn2σ2 ... ②
次にj次自己共分散γjを求めます。
γj=Cov[yt,yt−j] =Cov[ ϕ0+ϕ1yt−1+ϕ2yt−2+⋯+ϕnyt−n+ϵt , yt−j]=ϕ1Cov[yt−1,yt−j]+ϕ2Cov[yt−2,yt−j]+⋯+ϕnCov[yt−n,yt−j]=ϕ1γj−1+ϕ2γj−2+⋯+ϕnγj−n
n次ARモデルの自己相関
j次自己相関を求めてみましょう。
γj= ϕ1γj−1+ϕ2γj−2+⋯+ϕnγj−n
両辺をytの分散γ0で割ると
pj= ϕ1pj−1+ϕ2pj−2+⋯+ϕnpj−n
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1次ARモデルの特徴や統計量について