期待値とは?定義や性質を解説
期待値とは(Expected Value)
期待値とは、確率変数がとる値を確率によって重みづけした平均値です。簡単にいうと、確率変数が取ると「期待」される値です。
期待値の定義
期待値の定義は、離散型確率変数と連続型確率変数とで異なります。
離散型確率変数の場合
離散型確率変数は、サイコロの目のように飛び飛びの値を取ります。この場合の期待値は以下のような式で表現されます。
連続型確率変数の場合
連続型確率変数は、身長のように連続した値を取ります。この場合の期待値は以下のような式で表現されます。
期待値の性質
期待値には、以下に述べるような性質があります。式変形をする上でよく使うので覚えておきましょう。
性質 | 式変形 |
---|---|
期待値の線形性 | |
期待値の単調性 | |
の期待値 | |
独立な2つの確率変数の期待値 |
期待値と平均の違い
期待値とよく似た言葉に、平均というのがあります。場合によって、期待値は平均と同じ意味で使われていたりしますが、平均は標本の平均値を指す場合もあります。
標本サイズNの観測データについて、期待値と平均がどのように定義されるかを考えます。
母集団からという値が観測される確率をとします。
また、回の観測において、が観測される回数をと置きます。
そうすると、期待値と平均はそれぞれ次の式で表されます。
大数の法則から、標本サイズが∞まで大きくなるとき、となります。
つまり、標本サイズが∞のとき、が成り立ちます。
また、標本サイズが∞というのは、標本が母集団に一致していることを示しています。よって、標本が母集団と一致するとき、期待値と標本平均が等しくなると言えます。
期待値は、標本の背後に存在する母集団の平均に対応する値であり、標本の理論的な平均値(母集団の平均値)を表すものと言えます。また、理論的な平均値というのは母集団における平均であり、確率分布の期待値は母集団の平均値と一致します。
ここでは離散型確率分布の例を取り上げましたが、連続型確率分布の場合であっても同じことが言えます。
関数の期待値
確率変数が定義されているとき、関数もまた確率変数です。よって、この関数の期待値を考えることができ、離散型と連続型の場合で分けて以下のように表せます。
離散型確率変数の関数の期待値
連続型確率変数の関数の期待値
カテゴリ: 統計学の基礎
関連するサービス
記事の筆者
AVILEN編集部
株式会社AVILEN