マテリアルズ・インフォマティクスの普及を目指して、AI・データサイエンス人材の育成を推進

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マテリアルズ・インフォマティクスの普及を目指して、AI・データサイエンス人材の育成を推進

長瀬産業株式会社は、1832年京都で創業された化学系の専門商社です。中期経営計画「ACE2.0」では、2021年〜2025年を成長期と位置づけ、変革を遂げるための一つの施策として「DXの更なる加速」を挙げています。
今回は、新規ビジネス創出をミッションとしているNVC(New Value Creation)室のMI推進チームで、メンバーのAI・データサイエンスの人材育成を推進している渡部彬人氏に、お話をお聞きしました。

NVC室MI推進チーム 渡部彬人 氏

MI推進チームのミッション


- 渡部さんが所属しているNVC室MI推進チームのミッションを教えてください。

MI推進チームは、その名の通り、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の技術普及を目指しており、長瀬産業とIBMが共同開発した「TABRASA」というSaaS型の新材料探索プラットフォームの企画・販売・導入支援を中心に、MIに関わる事業推進を担当しています。


※マテリアルズ・インフォマティクス(MI)
ビッグデータ、AI、機械学習などといったデジタル技術を活用して、過去のシミュレーションデータや論文データを分析、予測するなどして、材料開発の期間短縮、効率向上を目指す取り組み。

- MI推進チームはどのような体制で活動しているのでしょうか?

2020年11月に5名で発足し、約2年経過した現在は20名ほどで活動しています。

TABRASAの開発に関わるメンバーは中途採用を中心に構成しています。また、全体の企画・セールス・カスタマーサクセスは、お客様へご提案・導入サポートをするにあたって、化学系のドメイン知識を持っている必要があるため、長瀬産業内の他部署から異動してきたメンバーを中心に構成しています。


- MI推進チーム内で、渡部さんの役割を教えてください。

MI推進チームは、企画、営業、サービスデリバリー、テクニカルの4つのチームに分かれていて、私自身は企画に籍を置きながら、各チームの業務にも幅広く関わっています。

企画チームの役割としては、2025年のあるべきチームの姿を描いて、組織の体制づくり、売上目標やコストの計画、サービスの企画を行うのが主なミッションになります。
今回のようなAI人材育成の取り組みの推進も、上記ミッションの一環です。


AI人材育成の検討を始めたきっかけ、研修の選定ポイント


- 今回、AVILENのAIビジネス研修を受講いただきましたが、そもそも人材育成の検討を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

「TABRASA」の追加開発を企画・検討するにあたり、IBM社の開発チームと目線を合わせて議論するには、チームメンバー、特に長瀬産業の他部署からアサインされたメンバーのAIやデータサイエンスに関するベースリテラシーが不足していると実感したことがきっかけです。

サービス内部のアルゴリズムを完全に理解する必要はなくとも、AI・データサイエンスに関する基本的な知識や、AIを組み込んだサービスを企画・販売する際の注意点など、最低限のレベルを学んでおく必要があると考えました。


今回の育成対象者はどのようなターゲットでしたか?

私を含め、長瀬産業の他部署からMI推進チームにアサインされたメンバー6名です。異動前は営業をしていたメンバーが多いですが、そのうち3名は、MI推進チームで勉強を進めつつデータサイエンティストとして稼働しています。


研修を選定するうえで重視していたポイントはありますか?

AIやデータサイエンスの知識を網羅的に学べること、インプットだけでなくワークなどのアウトプットする機会があること、ベンダーとの交渉などAIサービスをするうえで役立つ内容が含まれていることを重視していました。

AVILENのAIビジネス研修は、上記のポイントが全て網羅されていたので、今回の研修コンテンツに採用しました。


AIビジネスコースを受講した感想


実際に研修を受講してみて、メンバーや渡部さんの評価はいかがでしたか?

メンバーのリテラシーレベルによって、「適切なレベルだった」や、「難易度は低めだった」など評価にばらつきがありました。

私自身は、G検定を取得しAIの基本的な知識を持った状態で受講したのですが、コース後半のAIの具体的な例を交えた内容は、G検定では学べない内容だったので、受講して良かったと思います。


コース内の企画シートをもとにしたディスカッション会はいかがでしたか?

今回、企画シートのテーマはフリーではなく、TABRASAやMIに関するテーマを3つ設定しました。

結果として、6名から出てきた企画が近しいものになってしまい、メンバーの発想が凝り固まっているかもしれないという気づきと、テーマを絞りすぎるべきではないという企画側の気づきが得られました。


今後の展望


今後の人材育成の取り組みや、AI推進に関する意気込みをお聞かせください。

今回、研修を受講した6名のうち1名は、本格的にデータサイエンティストになるため、半年間かけて学習するコースを受講しています。他メンバーには、もう少し短期間でデータサイエンティストの素養が学習できるコースも探しています。
また、サービスに落とし込むにはシステムのことを学ぶ必要もあると考え、システム開発の基礎を学習できるコースも検討中です。

MI推進チームのリテラシーレベルをどんどん上げていって、更なるMI技術の普及に努めていきたいと思います。