AI OCRとは?仕組み・メリットや最新AIエージェント搭載型も徹底解説

日々の業務で大量の帳票処理に追われていませんか?請求書や注文書、契約書など、紙の書類やPDFを手作業で処理することによる非効率さは、多くの企業の課題となっています。このような状況を改善するために注目されているのが「AI OCR」です。特に近年は、単なる文字認識だけでなく、AIエージェントを搭載した次世代型OCRも登場し、業務効率化の可能性が大きく広がっています。
本記事では、AI OCRの基本的な仕組みから、従来のOCRとの違い、導入メリット、そして最新のAIエージェント搭載型OCRまで、幅広く解説します。
目次
監修者

株式会社AVILEN データサイエンティスト
AI画像処理×業務効率化を中心に、エンジニア兼プロジェクトマネジメントを担当。大手製造業を中心に、大型建造物の損傷検知AI、電材設計図の自動解析・見積もりシステムなどの要件定義・設計・開発・現場導入など幅広いデリバリ経験を持つ。その経験とノウハウをもとに、帳票処理AIエージェント『帳ラク』の立ち上げにも従事。
AI OCRの基本:OCRとの違い
従来OCRの課題と制約
OCR(Optical Character Recognition:光学的文字認識)は、紙の文書やイメージファイルから文字を認識・抽出する技術として長年活用されてきました。しかし従来のOCRには、次のような課題がありました。
- 定型フォーマットにしか対応できない
- 手書き文字や特殊な書体の認識精度が低い
- フォーマットが少し変わるだけで対応できなくなる
- 複雑なレイアウトの帳票に弱い
- 文字のかすれや傾きに弱い
これらの制約により、OCRを導入しても結局は人による確認・修正作業が大量に発生し、業務効率化の効果が限定的だったのが現実です。
AI OCRの技術要素
AI OCR(AI搭載OCR)は、人工知能技術を活用してこれらの課題を克服した次世代の文字認識技術です。主な技術要素は以下の通りです。
- ディープラーニングによる文字認識: 膨大な学習データをもとに、多様な書体や手書き文字を高精度に認識できます。
- 自然言語処理(NLP): 単なる文字認識だけでなく、文脈を理解することで精度を向上させます。
- 画像処理技術の進化: 低解像度や傾いた画像でも正確に文字を抽出できます。
- 機械学習による継続的改善: 利用するほど精度が向上するシステムになっています。
これらの技術により、「O」と「0」、「1」と「I」など、従来のOCRでは区別が難しかった類似文字の認識も可能になりました。
AI OCRのタイプ分類と比較
①定形型 vs 非定形型
AI OCRは、対応できる帳票の種類によって大きく分けることができます。
定形型AI OCRは、請求書や注文書など、あらかじめフォーマットが決まった帳票の処理に特化しています。事前にテンプレートを設定しておくことで、高い精度で情報を抽出できる一方、フォーマットが変わるとその都度設定が必要です。
非定形型AI OCRは、さまざまなレイアウトの帳票に対応できる柔軟性が特徴です。取引先ごとに異なる請求書フォーマットや、複雑なレイアウトの契約書なども処理可能で、業務の幅広い自動化を実現します。
②汎用型 vs 業務特化型
目的や用途によっても、AI OCRは分類できます。
汎用型AI OCRは、さまざまな種類の帳票を処理できる万能型です。請求書、契約書、申込書など、業種や業務を問わず幅広く活用できます。
業務特化型AI OCRは、経費精算や契約管理など特定の業務に特化したシステムです。業務に最適化されており、導入しやすく即効性が高いのが特徴です。
AIエージェント搭載型(最新トレンド)
ちなみに最新のトレンドとして注目されているのが、AIエージェント(※)搭載型OCRです。これは単なる文字認識だけでなく、業務ワークフローを自律的に処理できる高度なシステムです。
AIエージェント搭載型OCRの特徴は以下の通りです。
- 自律的なワークフロー処理: 読み取り→意味付け→基幹システム登録までを一貫して処理
- 能動的な報告機能: 判断が難しいケースを自動検出し、管理者に報告
- 双方向コミュニケーション: AIと対話しながら処理を進められる
- パーソナライズ: 業務や現場利用者に合わせてカスタマイズ可能
従来のAI OCRは「文字を読み取る」だけでしたが、AIエージェント搭載型は「業務を遂行する」ところまで進化しているのが大きな違いです。
(※)【AIエージェントとは何かを理解する記事】AIエージェントとは何か?定義、仕組み、導入メリットから未来予測まで解説
AI OCRの導入メリット
AI OCRを導入することで、企業は多くのメリットを享受できます。
業務効率の飛躍的向上
帳票処理にかかる時間は、AI OCRの導入により大幅に削減できます。例えば、請求書処理業務では、手作業と比較して処理時間を大幅に削減できたという事例もあります。
また、特に最新のAIエージェント搭載型OCRでは、認識率97.5%(※)という高精度を実現し、作業効率の向上に大きく貢献しています。
(※)AVILENが開発・提供する帳票処理AIエージェント「帳ラク」による検証結果です。
コスト削減効果
人件費や外注費の削減により、コスト面でも大きな効果が期待できます。特に大量の帳票処理を行う部門では、残業時間の削減や人員の最適配置につながります。また、書類保管スペースの削減も間接的なコスト削減効果と言えるでしょう。
ヒューマンエラーの削減
手作業での転記ミスや入力ミスは、業務の質を下げるだけでなく、場合によっては重大な問題につながります。AI OCRによる自動化は、こうしたヒューマンエラーを大幅に減らし、業務の正確性を高めます。
データ活用の促進
紙の書類をデジタルデータ化することで、検索やデータ分析が容易になります。これにより、業務の可視化や意思決定の迅速化、さらには新たなビジネスインサイトの創出も可能になります。
AI OCRの活用シーン
AI OCRは様々な業務シーンで活用されています。特に効果が高い代表的な活用シーンをご紹介します。
請求書・見積書・注文書処理
財務経理部門の大きな負担となる請求書処理は、AI OCRの最も一般的な活用シーンです。取引先によってフォーマットが異なる請求書も、AIエージェント搭載型OCRなら自動で読み取り、基幹システムへの登録まで行えます。
特殊なレイアウトや手書きの修正がある注文書でも、最新のAI OCRは認識率97.5%という高精度で読み取ることができます。例えば、商品コードがページをまたいでいる場合や、取り消し二重線による修正があるケースでも対応可能です。
経費精算処理
領収書やレシートの処理は手書きが多く、従来のOCRでは難しい場面が多々ありました。AI OCRはこれらの手書き文字も高い精度で読み取り、経費精算システムと連携することで、申請から承認までのプロセスを効率化します。
契約書管理
様々なフォーマットの契約書から重要項目(契約日、契約期間、契約金額など)を自動抽出し、契約管理システムに登録することで、契約更新忘れや条件確認の手間を大幅に削減できます。
人事労務書類処理
採用書類や社会保険関連の書類など、人事労務部門で扱う多様な書類もAI OCRの得意分野です。特に手書きが多い入社時の各種書類処理を効率化することで、人事部門の負担軽減につながります。
導入時のポイント・注意点
AI OCRを導入する際には、いくつかの重要なポイントや注意点があります。
精度は100%ではない
どんなに優れたAI OCRでも、認識精度は100%ではなく、最終確認のプロセスが必要です。ただし、最新のAIエージェント搭載型OCRでは、読み取りが難しいパターンを能動的に報告する機能があるため、チェックの工数を大幅に削減できます。
業務フローとの適合性
AI OCRの真価は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や基幹システムとの連携で発揮されます。導入時には、読み取り後のデータをどのように活用するかまで含めた業務フロー全体の設計が重要です。
セキュリティ・データ保護
帳票には機密情報や個人情報が含まれることが多いため、セキュリティ対策は必須です。導入するAI OCRのセキュリティレベルや、データの保管方法、アクセス権限の設定などを十分に検討する必要があります。
例えば、AVILENの「帳ラク」は、AWSをインフラ基盤としており、アップロード文書が学習されないなど、高いセキュリティ水準を確保しています。実際に大手金融機関への導入実績もあり、セキュリティ面での信頼性も高いシステムです。
AVILENのAIエージェントOCR「帳ラク」
ここまでAI OCRの基本から活用シーンまで解説してきましたが、ここからは最新のAIエージェント搭載型OCRである「帳ラク」について詳しくご紹介します。
https://avilen.co.jp/dev/saas/ai-agent/ai-ocr/

特徴
AVILENが提供する帳票処理AIエージェント「帳ラク」には、以下のような特徴があります。
圧倒的な読み取り精度
「帳ラク」は、複雑な帳票構造や特殊なレイアウト、手書き文字、かすれた文字に対しても高い認識精度を実現します。例えば、ページをまたいだ情報の紐づけや、取り消し二重線による修正、特殊な書き方の手書き文字なども認識可能です。
実際のデモでは認識率97.5%(3回試行の平均)を達成しており、従来のAI-OCRでは難しかった複雑な帳票処理も可能にしています。

「帳ラク」のデモはこちらからご覧いただけます:https://www.youtube.com/watch?v=QUU-MHxvwzA
レアケースの能動的報告(カスタム対応)
「帳ラク」では、難しいパターンや新規パターンを検出した際に、人間のように管理者へ能動的に報告する機能を実装できます(※カスタム開発オプション)。
これにより、確認が必要な帳票のみを明確に区別し、確認・修正の工数を大幅に削減できます。
基幹システムへの自動登録(カスタム対応)
読み取り後のデータを、基幹システムへ自動登録する機能もAPI連携により実装可能です(※カスタム開発領域)。
標準の読み取り機能に加え、業務フロー全体を自動化する仕組みを構築できます。
事前学習不要でクイック導入
従来のAI-OCRでは、テンプレートの設定や学習データの準備など、導入前の準備に多くの工数がかかっていました。「帳ラク」はこれらの事前準備が不要なため、クイックな導入が可能です。
高いセキュリティ水準
AVILEN Cloudを基盤としており、アップロード文書が学習されないなど、高いセキュリティ水準を確保。大手金融機関への導入実績もあり、セキュリティ面での信頼性も高いシステムです。
利用イメージ
「帳ラク」の利用フローは非常にシンプルです。

- 注文書受領: 取引先からFAXやメールで注文書を受領
- 注文書アップロード: 注文書をPC上のアプリにアップロード
- AI読み取り: 複数の帳票を同時に読み取り可能
- CSVダウンロード: データをダウンロードしExcelで確認可能
多様な送付手段(FAXのスキャンやメールのPDFなど)で届いた帳票をそのままアップロードするだけで、自動でAIが読み取り、処理後にCSVのダウンロードまで可能です。複数の帳票を一度にアップロードして一括処理することもできます。
料金イメージ
料金については、利用規模に合わせて選べる2つの料金プランがあります。
詳細については、資料請求いただくか、お問合せいただければ幸いです。
- 資料請求:https://avilen.co.jp/ai-dev/saas/ai-agent/ai-ocr/form/download/
- お問い合わせ:https://avilen.co.jp/ai-dev/saas/ai-agent/ai-ocr/form/contact/
まとめ
本記事では、AI OCRの基本から最新のAIエージェント搭載型OCRまで幅広く解説しました。AI OCRは単なる文字認識ツールを超え、業務効率化の基盤技術として、多くの企業で活用が進んでいます。
特に、AIエージェント搭載型OCRは、従来のAI-OCRの課題を克服し、複雑な帳票処理をノンストップで自動化できる次世代のソリューションです。AVILENの「帳ラク」は、高精度な読み取り機能と能動的な報告機能を備え、業務効率化を大きく促進する強力なツールと言えるでしょう。
帳票処理の効率化やDX推進をお考えの方は、ぜひ「帳ラク」の1週間無料トライアルをご検討ください。
実際の業務データで効果を体感いただけます:https://avilen.co.jp/ai-dev/saas/ai-agent/ai-ocr/form/contact/
記事の筆者

株式会社AVILEN マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



