【AI変革事例_小売・流通業界】原料・商品の買付と国内卸売の相場予測AI開発

海外原料の買付や国内卸売における市場変動リスクを最小化するため、独自の需要・相場予測モデルを構築したAI開発事例です。
誤差2%以下の高精度な予測とKPI可視化ダッシュボードを開発し、経験の浅い若手でも高度な意思決定ができる体制を確立しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
本事例の企業では、海外からの原料・商品の買付と国内卸売が属人的で共通の指標がなく、さらにアナログな手法で行われていました。
現状では、熟練者が数十にわたる情報ソースを確認しながら、定性的な判断で運営。経験者の勘に頼った運営により、大きな市場変動リスクが存在しており、事業計画の立案や議論が困難でした。
ソリューション
こうした課題に対し、相場の見立てを「個人の勘」ではなく「再現できる仕組み」に落とし込むための開発を行いました。
具体的には、以下の2点を実施しています。
- 相場予測モデルの開発
- 買付量、市場相場、需要量・供給量などの予測を実現
- 買付量、市場相場、需要量・供給量などの予測を実現
- KPI確認・試算用ダッシュボードを開発
- 事業部KPIと関連指標を細分化し、定量データとして可視化
- 月次の販売・買付計画をダッシュボード上で計算可能に
相場予測の「モデル」と、意思決定を進めるための「ダッシュボード」をセットで整備することで、現場の判断が属人化しにくい運用へと移行できる状態をつくりました。
成果
本取り組みにより、以下の成果が得られました。
- 相場予測精度:誤差2%以下
- 年間約10億円の粗利改善の可能性
- 共通言語を確立(戦略の定量的な可視化で全員が共通認識を持った議論が可能に)
- 脱・属人化(ノウハウとデータの可視化で、若手でも高度な意思決定が可能に)
これにより、熟練者が数十の情報ソースを確認して定性的に判断していた運営が、定量的な指標と予測にもとづく議論へと切り替わりました。
結果として、相場変動への向き合い方が「個人の経験」から「組織の判断基盤」へ移り、事業計画の立案や意思決定を前に進めやすい状態が整っています。
まとめ・考察
本事例の本質は、原料・商品の買付や国内卸売に関する意思決定を、熟練者の経験や勘に依存する運用から、データに基づく意思決定へと転換する「データドリブン経営基盤」の構築にあります。
従来は、熟練者が複数の情報ソースを参照しながら定性的に判断し、その内容をもとに経営判断を仰ぐ形が中心でした。
しかし本取り組みにより、需給や市場価格などのデータをもとに相場予測を行い、KPIとともにダッシュボード上で可視化することで、現場と経営が同じ指標を共有しながら議論できる環境が整いました。
重要なのは、単にデータを可視化することではなく、データ分析を通じて関係者の共通認識を醸成し、意思決定につなげる仕組みを構築した点です。
これにより、属人的な判断に依存していた業務が、再現性のある意思決定プロセスへと転換し、より高速で高度な事業運営を目指せる状態になりました。
また、本取り組みはあくまで第一のスコープに過ぎません。
予測モデルやKPIデータが蓄積されることで、対象品目の拡大や関連業務への展開など、データドリブンな意思決定を支える仕組みを事業全体へ広げていくことも期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



