【AI変革事例_官公庁・団体業界】AIボイスボット簡易PoCで97.8%の回答精度を実現

京都市における粗大ごみ受付業務で、AIボイスボットを活用した窓口業務の効率化を実現したAI開発事例です。
AIボイスボットのPoC(実証実験)を通じて97.8%の高い回答精度を達成し、職員の業務負荷軽減や24時間・多言語対応に向けた実現可能性を検証。
自治体DXを支える窓口業務の高度化と、行政サービスの品質向上を支援しました。
【関連プレスリリース】電話応対業務のAIボイスボット活用に係る実証実験(PoC)の結果について

監修者

株式会社AVILEN
取締役 CEO / 弁護士 コンサルタント
東京大学、ペンシルベニア大学経営大学院 (Wharton) Statistics/Finance専攻修了。大学院でデータドリブン経営やデータ分析を学ぶ。経済産業省、外資系戦略コンサルファーム等を経て、大企業やスタートアップの戦略策定・新規事業創出、自治体のDX等を支援。自民党デジタル社会推進本部web3PT WGメンバーとして「web3ホワイトペーパー」のドラフトに従事。京都市DXアドバイザー、弁護士。
課題
京都市では、家庭から排出される粗大ごみ等の「持込ごみ」に関する問い合わせや予約対応をオンラインおよび電話で行っています。
しかし、電話対応についてはコールセンターだけでなく市職員が直接対応するケースも多く、限られた人員での業務遂行が課題となっていました。
さらに、市民のライフスタイルの多様化や外国語を話す住民の増加に伴い、夜間の問い合わせ対応や多言語への対応といった、従来の有人対応だけではカバーしきれない新たなニーズも顕在化していました。
労働人口の減少が進むなかで、行政サービスの質を維持しながら、いかに効率的かつ効果的な窓口業務を実現するかが問われていました。
ソリューション
京都市とAVILENが締結した連携協定に基づき、AIボイスボットを活用した電話対応業務のPoC(実証実験)を実施しました。
本実験では、実用化に向けた「正確性・速度・自然さ」を検証するため、以下のプロセスを構築しました。
- 実践的な検証シナリオの構築
よくある問い合わせを想定した約50パターンのシナリオを作成。これに基づき、構築したAIボイスボットと複数回の会話を行い、実務に耐えうる水準か否かを多角的に評価しました - システム開発とデータ整備の最適化
迅速な検証を優先し、開発工数やデータ整備を最小限に抑えつつも、高い回答精度を引き出すためのアルゴリズム調整を実施しました - 課題の特定と改善サイクルの確立
一部で見られた速度や自然さに関する課題に対し、その原因と改善方法を具体的に特定。本格運用に向けた精度の向上と、より自然な会話体験を実現するための見通しを立てました
これにより、技術的な可能性の確認に留まらず、実際の行政現場に導入した際の影響を具体的にシミュレーションすることが可能となりました。
成果
本PoCの結果、行政サービスの自動化に向けた極めて良好な成果が得られました。
- 97.8%という高い回答正確性の達成
開発リソースを最小限に抑えた簡易的な検証段階でありながら、約98%という実務に耐えうる極めて高い回答精度を実現しました。 - 行政職員の負担軽減とサービス向上の見通し
AIボイスボットによる自動応答の有効性が確認されたことで、将来的な職員の業務負荷軽減と、24時間対応や多言語対応といった住民サービスの拡充に向けた具体的な道筋が示されました。
今回の成果は、労働人口の減少という構造的な課題に対し、AIが「人員を補完する強力なソリューション」として機能することを実証した点に大きな価値があります。
また、技術的な改善点が明確になったことで、本格導入時の品質担保に対する確信を得るに至りました。
まとめ・考察
本事例の特筆すべき点は、最小限のデータ整備と短期間のPoCでありながら、97.8%という驚異的な精度を叩き出し、自治体実務におけるAIの実用性を鮮明にしたことにあります。
生成AIを活用した音声対話技術は、単なる「効率化ツール」に留まりません。
夜間や多言語といった、これまでリソース不足で諦めていた住民ニーズに即座に応えられるようになることで、行政サービスのあり方そのものをアップデートする可能性を秘めています。
この先、京都市での知見をベースに、他の自治体業務へも横展開が進むことで、公共部門における持続可能な業務運営のモデルケースとなることが期待されます。
現場の細かなニーズを汲み取ったAI実装を積み重ねることは、自治体DXを加速させ、日本全体の公共サービスの高度化を牽引していく重要な一歩となるでしょう。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。






