【AI変革事例_IT業界】3Dモデル類似度検索の精度を劇的に向上

3Dモデルの類似度検索精度を大幅に向上させたAI開発支援事例です。
評価指標やデータセット設計を見直し、機械学習アルゴリズムの最適化と高速なPDCAを実行。
3年間停滞していた開発をわずか3ヶ月で実用レベルに引き上げ、検索精度30%向上と本番導入を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
製造・設計現場において、過去に蓄積された3Dモデルの再利用性を高めることは業界全体の大きな課題となっています。
例えば自動車開発などの現場では、過去の膨大な設計データが存在するものの、それらを形状から検索する仕組みが不十分なため、エンジニアが過去の知見を十分に活かせず、ゼロから設計し直すといった非効率が発生していました。
本事例のクライアントである大手ソフトウェア企業では、この需要に応えるべく、自社エンジニアが自らデータサイエンスやAIの知見を取り入れ、3年もの月日を費やして研究開発を続けてきました。
しかし、論文に基づいた独自開発を進めるも期待する精度には一向に届かず、開発の長期化によるコスト増大と市場投入の遅れが深刻な問題となっていました。
ソリューション
AVILENは、実務経験豊富なデータサイエンティストによるOJT(On the Job Training/実務を通じた教育)形式での技術支援を実施しました。
単なるアルゴリズムの提供にとどまらず、以下のプロセスを通じて本質的な課題解決を図りました。
- 評価指標の再設定と仮説検証の高度化
現場で「本当に使える」検索システムにするため、適切な精度評価指標を新たに設定。どのようなデータセットを構築すれば実用性が高まるのか、深い洞察に基づいた仮説立てを行いました。 - 機械学習アルゴリズムの最適化
最新のアルゴリズムを活用し、3Dモデルの特徴抽出技術を徹底的にブラッシュアップしました。 - 高速なPDCAサイクルの確立
大規模データセットを用いた学習モデルの構築と調整を繰り返し、精度が上がらない原因を分析しては改善するサイクルを高速で回しました。
この取り組みにより、生成AIでは対応が困難な高度な3D幾何学データの解析において、突破口を見出しました。
成果
本プロジェクトは、3年間の停滞が嘘のように劇的な進展を見せました。
- わずか3ヶ月で本番導入可能な精度を実現
開発プロセスを抜本的に見直した結果、支援開始からわずか3ヶ月で、実際の製品に搭載できるレベルまで精度を引き上げることに成功しました。 - 検索精度が従来比で30%向上
クライアントが長年苦戦していた既存の精度から、さらに30%の向上を達成しました。 - 社内エンジニアのAI開発能力向上
OJT形式の支援を通じて、単にシステムを構築するだけでなく、高度な仮説立てや精度分析を行うためのノウハウが社内へ継承されました。
これにより、市場投入の遅れを取り戻すと同時に、競合他社にはない独自機能としての競争力を確保することができました。
まとめ・考察
本事例の特筆すべき点は、最新の論文や理論を適用するだけでは解決できなかった「実用化の壁」を、徹底した現場視点のデータ活用戦略で打破した点にあります。
また、本取り組みにおけるOJTを通して、クライアント企業におけるAIエンジニアの内製化が強化されたことも、重要な成果の一つです。
特に、検索精度を左右する「データセットの作り方」や「評価指標の設定」といった、AI開発の最上流工程にプロの知見を注入したことが、短期間での成果創出につながりました。
これは、技術を単なる知識として持つことと、それをビジネス成果に結びつける「実践知」との差を象徴する事例といえます。
また、この取り組みがAI変革と言える理由は、単なる機能追加に留まらず、これまで属人化していた設計ノウハウを「形状データ」という客観的な情報から引き出せるようにし、設計業務のプロセスそのものを変革する基盤を作ったことにあります。
今後はこの類似検索技術をさらに発展させ、形状の類似性からコスト予測や製造可能性の判断を自動化するなど、設計から製造に至るまでのサプライチェーン全体を最適化する高度なAIソリューションへの展開が期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



