【AI変革事例_建設業界】熟練者の知見を定量化。2D図面の見積もり業務を83%削減したAI自動認識システム

顧客から送付される2D図面をもとに行っていた見積もり業務を、AIによって自動化したAI開発事例です。
画像認識AI、AI-OCR、生成AIを組み合わせることで、図面から部品特定と見積もり算出を自動処理する仕組みを構築しました。
導入により作業工数を83%削減し、熟練者に依存していた見積もり業務の脱属人化と受注プロセスの高速化を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
建設業界では、最新の3D CADデータ活用が進む一方、未だに多くの商習慣や取引先とのやり取りにおいて、市場の半分はPDFやExcel、紙(FAX)で送られてくるような「2D図面」によるものが占めています。
本事例のクライアントも、顧客から送付される2D図面をもとに、建築設備部品の型番や個数を目視で特定し、見積もり金額を算出していました。
このプロセスには、以下のような深刻な課題が存在していました。
- 膨大な工数による事業の停滞
数万点に及ぶ部品を手作業で判別するため、見積もり算出に膨大な工数がかかり、事業成長のボトルネックとなっていました。 - 属人化した運用体制
見積もり判断が熟練者の勘や経験に依存しており、属人化した体制からの脱却が急務となっていました。 - 2D図面の複雑性
クライアントごとにフォーマットが異なり、統一が難しいため、実用レベルでの自動認識が困難な状況にありました。
ソリューション
AVILENは、図面(画像)認識AI、AI-OCR、そして生成AIを組み合わせることで、これまで困難とされていた2D図面による見積もり業務の「自動化」を実現しました。
- マルチテクノロジーによる自動解析
AI-OCRと生成AIを活用し、図面からの部品特定・見積もり業務をシステム化しました。オペレーターは最終的な確認作業のみを担当するフローへと転換しています。 - 高精度な認識機能の構築
統一が難しく、多様なフォーマットが存在する図面であっても、実用レベルでの高精度な認識を可能にしました。 - 見積もりロジックの定量化
熟練者が行っていた「職人芸」的な判断プロセスを詳細にヒアリングし、精緻で定量的な見積もりロジックとしてAIに組み込みました。
成果
本システムの導入により、受注プロセスのあり方は劇的な変貌を遂げました。
- 作業工数の83%以上削減
人手で行っていた部品特定から見積もり算出までの大半が自動化され、業務効率が飛躍的に向上しました。 - 業務の属人化を解消
特定の人材に頼っていた見積もり業務がシステム化されたことで、誰でも安定した精度で業務を遂行できる体制が整いました。 - 即時回答による顧客体験の向上
アップロードされた図面に対してAIが迅速に見積もりを行うことで、顧客への回答スピードが大幅に短縮され、競争力の強化に直結しています。
まとめ・考察
本事例の大きな特徴は、単なる「文字のデータ化」に留まらず、建設現場の核心である「見積もり判断」という知的熟練作業をAIによって定量化した点にあります。
これは、アナログな商習慣が残る業界において、真のAI変革を体現した非常に優れたモデルです。
2D図面という、多くの企業が自動化を諦めていた領域をデジタル化した意義は極めて大きく、今後は蓄積された見積もりデータを分析することで、原価精度の向上や戦略的な価格設定といった、さらなるデータドリブン経営への発展が期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。





