【AI変革事例_医療業界】DNAデータ分布による疾患の自動検出

DNAデータの分布パターンから疾患を自動検出するAIを開発した事例です。
専門医の判断プロセスをアルゴリズムとして再現し、クラスタリングと異常検知を組み合わせた自動判定システムを構築。
判定精度82%を達成するとともに、分析時間を1時間から約10分へ短縮し、診断業務の効率化と標準化を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
最先端のDNA検査技術を持つ医療スタートアップ現場では、細胞データの分析工程において大きな課題を抱えていました。
DNAを分析すると2次元グラフ上に膨大なデータ点が現れますが、これまでは「どのような分布であれば疾患があるか」という最終的な判断を、専門医が目視で確認し、手動で分析を行っていました。
こうした運用には、以下のような問題が生じていました。
- 高度な属人化
経験豊富な専門医の知見に頼る作業のため、限られた人員しか対応できない。 - 既存ソフトウェアの精度不足
導入済みのクラスタリングソフトの精度が低く、実用性に欠けていた。 - リードタイムの長期化
1件あたりの分析に約1時間を要しており、業務効率のボトルネックとなっていた。
病院などの医療現場へ広く展開するためには、分析手法だけでなく、その後の判定工程までを自動化した包括的なソフトウェアの提供が不可欠となっていました。
ソリューション
AVILENは、蓄積された膨大な細胞データを活用し、専門医の「判断」を代替するAIアルゴリズムを開発しました。
具体的には、以下の仕組みを構築しています。
- 細胞データのクラスタリングと異常検知
採取した細胞の分布データをAIが自動で走査し、異常を検知する。 - 疾患の自動判定ロジック
正常な分布と疾患がある分布のパターンを学習させ、自動で疾患の有無を判別する機能を実装。
これにより、これまで医師が目を凝らして行っていた「グラフの解釈」という後工程を、システム上で完結できる体制を整えました。
成果
本プロジェクトにより、分析業務の劇的な効率化と標準化に成功しました。
- 疾患判定率82%を達成
専門家の知見を高い水準で再現し、自動判定による信頼性を確保しました。 - 分析時間を約83%削減
従来1時間かかっていた作業が、わずか10分程度に短縮されました。
単なる時短に留まらず、経験の浅いスタッフでも迅速に正確な分析結果を得られるようになったことは、医療サービスの提供スピード向上に直結します。
また、判定プロセスが標準化されたことで、人為的な見落としリスクの軽減という質的な改善も実現しました。
まとめ・考察
本事例は、バイオテクノロジーという高度に専門的な領域において、AIが「熟練者の目」を補完し、ビジネスモデルそのものを強化した好例と言えます。
特筆すべき点は、独自の分析手法(コア技術)にAIによる自動判定(後工程)を組み合わせたことで、顧客である医療機関にとっての利便性を飛躍的に高めたことです。
これにより、単なる「分析手法の提供」から、現場の意思決定を支援する「診断ソリューション」へとサービス価値が昇華されています。
この取り組みは、医療分野におけるAI変革の第一歩に過ぎません。
今後は、より多様な疾患への対応や、判定プロセスのさらなる高精度化を通じて、個別化医療の普及や予防医学の進展に大きく寄与していくことが期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。




