【AI変革事例_エネルギー業界】ドローン撮影と損傷検知AIによる大型設備点検の自動化

ドローン撮影と損傷検知AIを組み合わせ、大型設備の点検業務を自動化したAI開発事例です。
空撮画像をAIが解析し、ひび割れやサビなどの異常を自動検出することで、従来は人手に依存していた目視点検を代替。
損傷判定で99%以上の精度を達成し、高所作業や設備停止を不要にすることで、安全性と効率性の両立を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
エネルギー発電業界における大型建造物の維持管理には、従来、多大なコストとリスクが伴っていました。
橋梁や風力発電の風車、超大型の鉄塔といった設備を点検する際、これまでは高所作業車やはしごを用いた作業員による目視確認が一般的でした。
しかし、こうした従来の手法には以下の課題が顕在化していました。
- 多大な経済的損失
点検のために大型建造物の稼働を一時停止させる必要があり、数日にわたる稼働停止がそのまま損失につながっていました。 - 安全面への懸念
高所や危険な場所での人手による作業は、常に安全上のリスクを伴います。 - 自動化の限界
ドローンの導入自体は進んでいたものの、撮影画像のチェックは依然として人手による目視に頼っており、大幅な工数削減には至っていませんでした。
ソリューション
これらの課題を解決するため、ドローン撮影と最新のAI技術を統合した「損傷検知AIソリューション」を構築しました。
本システムは、ドローンが空中から撮影した画像をAIが解析し、損傷や被雷痕、ひび割れ、汚れ、サビなどを自動で検出するソフトウェアです。
主な取り組み内容は以下の通りです。
- AIによる自動解析の実装
ドローンで撮影された膨大な画像データに対し、AIが損傷の有無を即座に判別する仕組みを導入しました。 - 多種多様な異常検知
表面の傷だけでなく、風力発電特有の被雷による痕跡や経年劣化によるサビまで幅広くカバーしています。 - 1次スクリーニングの自動化
膨大な点検項目の中から、AIが迅速に異常の疑いがある箇所を抽出することで、人間が確認すべき範囲を大幅に絞り込みました。
成果
本ソリューションの導入により、点検業務の安全性と効率性は劇的に向上しました。
- AIによる圧倒的なスクリーニングと損傷箇所の特定
画像中の損傷「あり・なし」を判断する1次スクリーニングにおいて、99%以上の精度を達成しました。
さらに、ドローン画像からの具体的な損傷箇所の特定についても、高い精度を確保し、実用レベルでの点検作業の自動化を実現しています。 - 安全性の確保とコスト削減
建造物の稼働を停止させることなく、また人間が高所や危険な場所に立ち入る必要もなくなったため、安全で効率的な運用体制が確立されました。
単なる作業の代替に留まらず、これまで「数日かかるのが当たり前」だった大規模点検を、日常的な運用の中で完結できるプロセスへと変革させています。
まとめ・考察
本事例の特筆すべき点は、ドローンという「撮影手段」に損傷検知AIという「高度な眼」を組み合わせることで、点検業務のボトルネックだった「目視の工数」を根本から解消した点にあります。
この取り組みがAI変革と言える理由は、物理的な制約(高所・危険・稼働停止)をデジタル技術によって克服し、インフラ維持管理のあり方を「人海戦術」から「データ駆動型」へとアップデートしたからです。
今後は、蓄積された損傷データを経時的に分析することで、いつ・どこに・どのような異常が発生しやすいかを予測する「予兆検知」への展開が期待されます。
単なる事後の点検から、事前の予防メンテナンスへと高度化していくことで、エネルギーインフラの信頼性をさらに盤石なものへと変えていく第一歩となるでしょう。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。




