【AI変革事例_建設業界】AIによる区画割の自動生成で、用地活用の収益最大化

土地の区画割と収益試算をAIで自動生成し、用地活用の意思決定を高速化したAI開発事例です。
建築法規やインフラ条件などの複雑な制約を考慮しながら、最適な区画割パターンと概算工事費・収益を約20秒で算出するAIシステムを開発しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
2024年4月から建設業界に適用された時間外労働の上限規制(※)を背景に、業界全体で労働の効率化が喫緊の課題となっています。
※建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
不動産DX事業を展開するクライアント企業は、大規模な土地を戸建て用に分割して販売する際の、用地購入・開発における新サービスの立ち上げを計画していました。
しかし、土地の区画割(分割案)の策定には、多岐にわたる課題がありました。
- 複雑な制約条件
建築基準法などの膨大な法律に加え、水道・ガス管の配置、各区画が接する道路の条件など、考慮すべき制約が極めて多い点。 - 膨大な工数と期間
最適な収益性を確保するための分割案策定や、複数社への見積もり依頼、分析に、数日から1週間程度の時間を要していた点。 - 技術パートナーの不在
フルスクラッチ開発を伴う高難度なシステム構築において、AI・ITの深い知見と実装能力を持つパートナーを必要としていました。
ソリューション
AVILENは、用地購入の迅速な意思決定を支援するAIアプリケーション「造成くん」の開発を、多面的な支援を通じて成功に導きました。
本システムは、対象となる土地の図面をアップロードするだけで、以下のプロセスを自動実行します。
- 自動区画割の生成
建築法規やインフラ制約を網羅したアルゴリズムにより、最適な分割パターンを約20秒で複数算出します。 - コストと収益の試算
それぞれのパターンにおける概算工事費や販売見込み額を自動で提示します。 - 包括的な開発支援
アルゴリズム開発に加え、Webアプリケーションの実装、プロジェクトマネジメントの代行までを一貫して引き受け、実用的なツールへと仕上げました。
AVILENは、図面(画像)認識AI、AI-OCR、そして生成AIを組み合わせることで、これまで困難とされていた2D図面による見積もり業務の「自動化」を実現しました。
- マルチテクノロジーによる自動解析
AI-OCRと生成AIを活用し、図面からの部品特定・見積もり業務をシステム化しました。
オペレーターは最終的な確認作業のみを担当するフローへと転換しています。 - 高精度な認識機能の構築
統一が難しく、多様なフォーマットが存在する図面であっても、実用レベルでの高精度な認識を可能にしました。 - 見積もりロジックの定量化
熟練者が行っていた「職人芸」的な判断プロセスを詳細にヒアリングし、精緻で定量的な見積もりロジックとしてAIに組み込みました。
成果
本システムの導入は、用地仕入れから事業化に至るまでのスピードを劇的に進化させました。
最大の成果は、従来「数日〜1週間」を要していた事業化判断が「約1分」で可能になったことです。
未購入の土地であっても即座に収益性の見込みが立つため、競合他社に先んじた迅速な用地仕入れが可能となりました。
また、ビジネス面においても、ベータ版の提供開始直後から多数の問い合わせを獲得しており、数百件規模の潜在顧客の発掘に成功しています。
これは、属人的で手間のかかっていた検討業務をAIが代替することで、業界全体の「生産性の向上」という大きな価値を生み出した結果と言えます。
まとめ・考察
本事例の特筆すべき点は、建築法規という極めて複雑な「ルールの壁」を、AIによる最適化アルゴリズムで突破した点にあります。
これは、単なる一部業務の効率化に留まらず、用地仕入れという「不動産・建設ビジネスの起点」における意思決定のあり方を根底から変えるAI変革です。
理想の全体像を見据えながら、まずは意思決定に直結する「区画割と概算見積もり」というコア部分から着手し、確かな成果(Quick Win)を実現しました。
今後は蓄積されるデータを活用し、より精緻な市場予測や着工後の工程管理との連携など、事業プロセス全体をデータで最適化していく「AI変革」のさらなる進展が期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。






