【AI変革事例_建設業界】工事書類の転記工数を90%削減するAI-OCRソリューション

電力プラントの保守業務で発生する工事書類の転記作業を、AI-OCRとRPAで自動化したAI開発事例です。
紙・FAX・PDFなど業者ごとに異なるフォーマットの書類をAIが自動解析し、指定Excelフォーマットへの転記を自動化しました。
その結果、読み取り精度80%を達成し、対象業務の工数を90%以上削減する見込みを実現しています。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
電力プラントの保守運用を担う現場監督にとって、最大の負担となっているのが膨大な「書類作成業務」です。
現場監督の本来の役割は工事の安全や品質を管理することですが、実際には工事の前後に発生する大量のドキュメント対応に追われていました。
主な課題は以下の通りです。
- 慢性的な長時間労働
書類作成は現場監督業務の合間に行う必要があり、特に繁忙期には残業が常態化していました。 - アナログな情報の混在
業界全体の課題として、工事店などの協力業者から届く情報は紙やFAX、PDFなど多岐にわたります。フォーマットの統一や完全な電子化が極めて困難な状況でした。 - 煩雑な転記作業
業者ごとにバラバラの形式で届く情報を、発注者へ提出するための自社指定フォーマットへ一つひとつ手入力で転記し直す作業が、多大な手間となっていました。
ソリューション
AVILENは、AI-OCRとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を組み合わせ、書類作成を自動化するシステムを構築しました。
具体的な解決策は以下の通りです。
- 高精度な読み取りと構造化
多種多様な形式の書類から記載内容を正確に抽出。読み取ったデータを会社指定のフォーマットに合わせ、Excel形式で自動出力するシステムを考案しました。 - 実務に即した簡易UIの開発
現場担当者がスキャン後のPDFファイルを選択するだけで、瞬時にExcelフォーマットが出力される直感的なユーザーインターフェースを作成しました。 - PoC(概念実証)による検証
実際の工事用書類を用いてAI-OCRの読み取り精度を徹底的に検証し、実用性を高めました。
今後は、このソリューションを他の複数種類の書類へも展開していく予定です。
成果
本プロジェクトの導入により、ドキュメント業務のあり方は劇的な変貌を遂げようとしています。
成果のポイントは以下の通りです。
- 高い読み取り精度の達成
特定の書類において、AI-OCRによる読み取り精度80%を達成しました。 - 圧倒的な工数削減見込み
自動化システムを組み合わせることで、対象業務における90%以上の工数削減が見込まれています。
これにより、夜遅くまで行われていた手作業の転記業務が大幅に削減される見通しです。
現場監督は事務作業の負担から解放され、本来注力すべき安全管理や監督業務に専念できる、より健全な組織運営が可能になります。
まとめ・考察
以前は、現場の業務プロセス全体を一度に変えようとしたり、現場の意見を聞かずにシステムを導入したりした結果、現場からの反発や混乱を招き、結局DXが定着しなかったという苦い経験がありました。
そのため、今回はその反省を活かし、「現場の負担を最小限に抑え、効果を実感しやすい部分から着手する」というアプローチを採用しました。
具体的には、現場にとって最も煩雑で時間のかかっていた転記作業に焦点を当て、ここを自動化することで、現場の負担をピンポイントで軽減し、DXの成功体験を積み重ねることを優先しました。
これにより、現場の理解と協力を得ながら、将来的にはこの成功体験とデータ活用を基盤として、段階的にプロセス全体の抜本的な変革へと繋げていく実効性の高いDX推進を実現しています。
今後は、蓄積されたデータを活用した工事実績の分析や、さらなる書類の自動生成範囲の拡大が期待されます。
今回の「書類作成の自動化」を足がかりに、プラント保守業務全体のデジタル化が加速していく大きな展望が拓けました。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー/シニアマーケター / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。




