確率密度関数を用いたt分布の期待値の導出

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公式の確認

まずは、t分布の公式を確認しましょう。

確率密度関数

f(x)=Γ(ν+12)νπΓ(ν2)(1+x2ν)(ν+12)f(x)=\frac{\Gamma(\frac{ν+1}{2})}{\sqrt{ν\pi}{\Gamma(\frac{ν}{2})}}{(1+\frac{x^2}{ν})}^{-(\frac{ν+1}{2})}

期待値

E(X)=0E(X)=0

分散

V(X)={(1<γ2)γγ2(γ>2)V(X) = \left\{ \begin{array}{ll}\infty & (1\lt\gamma \leq2) \\ \frac{\gamma}{\gamma-2} & (\gamma\gt2)\end{array} \right.

期待値の導出

E(X)=xf(x)dx=0xf(x)dx+0xf(x)dx=0xf(x)dx0xf(x)dx=0\begin{aligned} E(X) &= \int_{-\infty}^{\infty} xf(x) \, dx \\ &= \int_{-\infty}^{0} xf(x) \, dx + \int_{0}^{\infty} xf(x) \, dx \\ &= \int_{-\infty}^{0} xf(x) \, dx - \int_{-\infty}^{0} xf(x) \, dx \\ &= 0 \end{aligned}

補足:偶関数と奇関数

【定義】

f(x)=f(x)f(x)=f(-x)が成立するとき、f(x)f(x)が偶関数であるといえる。

f(x)=f(x)f(x)=-f(-x)が成立するとき、f(x)f(x)が奇関数であるといえる。

【性質】

y=f(x)y=f(x)が偶関数であるとき、のxy平面上にグラフを描画すると、x=0を軸に線対称となる。

y=f(x)y=f(x)が奇関数であるとき、のxy平面上にグラフを描画すると、原点を対称に線対称となる。

補足

f(x)=Γ(ν+12)νπΓ(ν2)(1+x2ν)(ν+12)dx=Γ(ν+12)νπΓ(ν2)(1+x2ν)(ν+12)dx(=f(x))f(-x) = \int_{ - \infty }^{ \infty } \frac{\Gamma(\frac{ν+1}{2})}{\sqrt{ν\pi}{\Gamma(\frac{ν}{2})}}{(1+\frac{{-x}^2}{ν})}^{-(\frac{ν+1}{2})}dx=\int_{ - \infty }^{ \infty } \frac{\Gamma(\frac{ν+1}{2})}{\sqrt{ν\pi}{\Gamma(\frac{ν}{2})}}{(1+\frac{{x}^2}{ν})}^{-(\frac{ν+1}{2})}dx(=f(x))

これにより、t分布の確率密度関数は偶関数である。

y=xは奇関数である。奇関数と偶関数の積は奇関数となる。g(x)が奇関数であるとき、

0ag(x)dx=a0g(x)dx\int_{ 0}^{a }g(x)dx=-\int_{-a}^{0}g(x)dx

カテゴリ: t分布

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