【AI変革事例_製造・卸売業界】営業業務を効率化する見積書処理AIエージェント

電設・電材業界の代理店において、仕入先からの見積書を得意先指定フォーマットへ転記する業務を自動化したAI開発事例です。
AI-OCRと生成AIの連携により、1件あたり約15分の作業を約5分に短縮し、ミスや遅延の解消と見積データの資産化を実現しました。
なお本事例は、【AI変革事例_製造・卸売業界】帳票処理AIエージェント活用による書類のシステム登録自動化と非常に関連性が高いため、あわせてご確認ください。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
電設・電材業界の代理店では、仕入先から届く見積書を、得意先指定のフォーマットへ手作業で転記・再作成する業務が大きな負担となっていました 。
現場では、以下のような「人手に依存した運用」が事業成長のボトルネックとなっていました。
- 膨大な転記工数:1件あたり約15分を要し、営業や事務の本来の業務を圧迫 。
- データの未活用:転記して終わりという運用のため、「誰に・何を・いくらで」提案したかの履歴が蓄積されず、価格戦略に活かせていない 。
- 信頼失墜リスク:属人的な作業による転記ミスや、多忙による作成遅延が顧客信頼を損なう懸念 。
こうした背景から、単純な変換ツールではなく、自律的に書類を解釈し、データとして資産化する仕組みが求められていました。
ソリューション
AVILENは、AI-OCRと生成AIを高度に連携させた「見積書処理AIエージェント」を構築しました。
本AIエージェントは、単なるフォーマット変換に留まらず、以下のプロセスを自律的に実行します。
- 高度なドキュメント解析
- 仕入先ごとに異なる見積書(PDF)をAI-OCRで読み取り、生成AIが項目を自律的に特定・構造化。
- 仕入先ごとに異なる見積書(PDF)をAI-OCRで読み取り、生成AIが項目を自律的に特定・構造化。
- 柔軟なフォーマット適応
- 得意先ごとの指定形式へ即座に変換・出力。個別の業務フローに合わせた柔軟な運用設定も可能。
- 得意先ごとの指定形式へ即座に変換・出力。個別の業務フローに合わせた柔軟な運用設定も可能。
- インテリジェントなデータ蓄積
- 処理した見積データを自動で蓄積。単なる事務作業を、営業力強化のためのデータ収集プロセスへと転換。
成果
本システムの導入は、単なる時間短縮に留まらず、組織の信頼性とデータ活用能力を大幅に引き上げる結果となりました。
- 見積書作成時間の劇的な短縮
- 1件あたり約15分要していた作成時間が約5分にまで短縮。営業現場の負担を大幅に軽減しました。
- 1件あたり約15分要していた作成時間が約5分にまで短縮。営業現場の負担を大幅に軽減しました。
- 品質の安定化による顧客信頼の維持
- 手作業に起因する転記ミスや送付の遅延を未然に防ぐことが可能になり、長年築いてきた顧客との信頼関係をより強固なものにしています。
- 手作業に起因する転記ミスや送付の遅延を未然に防ぐことが可能になり、長年築いてきた顧客との信頼関係をより強固なものにしています。
- データの資産化と戦略への活用
- 従来は捨てられていた見積データが自動で蓄積されるようになり、これを価格交渉や次なる提案戦略の策定に活用できる土壌が整いました。
まとめ・考察
本事例の特徴は、定型化が難しい「仕入先と得意先の間に立つ代理店特有の転記業務」を、生成AIの柔軟な解釈力を活用して攻略した点にあります。
また、これがAI変革と言える理由は、業務の効率化と同時に「営業情報のデータ化」を成し遂げた点にあります。
これまで属人的に管理されていた見積内容が組織の共通データとして蓄積されるようになったことは、企業の意思決定プロセスを根本から変える可能性を秘めています。
同社において、先に実現したシステム登録の自動化と合わせ、商流の入り口(見積)から出口(登録)までをデジタルで繋ぐことで、今後は蓄積されたデータを基にした「勝てる価格設定」の自動推奨など、営業の高度化に向けたさらなる展開が期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。






