【AI変革事例_製造業界】製造業界の設計指示コストを大幅に削減できる図面認識AIソリューション

製造業界の事業成長を阻害する「図面解析の属人化」と「見積工数の増大」を、独自アルゴリズムを用いたAI開発で解決した事例です。
2D図面からの設計情報抽出精度を実用レベルまで引き上げ、AI活用による業務プロセスの劇的なスケールアップを実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
製造業における見積業務は、図面の読み取りと加工条件の判断を伴う高度な業務であり、多くの場合ベテラン担当者の経験に依存しています。
そのため見積作成には時間がかかり、顧客への提案スピードや事業の拡張性を制約する要因となっていました。
また、担当者ごとに判断基準が異なることで見積結果にばらつきが生じ、精度や再現性の担保が難しいという課題もありました。
さらに、AIによる図面解析の取り組みも進められていましたが、2D図面から形状や加工情報を正確に抽出することは難しく、実際には20枚に1枚程度しか正しく認識できない状況であり、実務で活用できる精度には到達していませんでした。
ソリューション
AVILENは、図面理解と見積ロジックの両方をAI化することで、見積プロセス全体を高度化するソリューションを構築しました。
- 図面解析AIによる設計情報の自動抽出(古典的画像処理 × 生成AI)
- 2D図面から形状や寸法情報を正確に取得するため、古典的な画像処理アルゴリズムに加え、深層学習モデルと生成AIを組み合わせた独自のハイブリッドな解析手法を採用しました。
- 2D図面から形状や寸法情報を正確に取得するため、古典的な画像処理アルゴリズムに加え、深層学習モデルと生成AIを組み合わせた独自のハイブリッドな解析手法を採用しました。
- 見積ロジックの形式知化
- ベテラン担当者の暗黙知となっていた見積ロジックを分析し、加工条件・形状特性・材料などをパラメータ化した見積アルゴリズムとして整理。
- 過去の実図面をもとに、見積判断プロセスを詳細にヒアリング
- 感覚的な判断も含めて見積に影響する要素を分解し、変数・係数として定式化
- 定式化したロジックを過去データで検証し、誤差を調整
- これにより、人の経験に依存していた見積判断を再現可能なロジックとしてAIに実装しました。
- ベテラン担当者の暗黙知となっていた見積ロジックを分析し、加工条件・形状特性・材料などをパラメータ化した見積アルゴリズムとして整理。
- MLOpsによる継続的な精度改善
- AIの実用化に向けて、精度を継続的に改善するためのMLOps基盤を構築。抽出結果や見積結果をリアルタイムで可視化し、モデル改善のPDCAを高速に回せる体制を実現しました。
成果
図面解析と見積プロセスは飛躍的な進化を遂げ、事業成長の後押しに貢献する結果となりました。
- 図面解析精度の大幅向上
- 2D図面からの情報抽出精度は約8倍に向上。
- 従来のAIアプローチでは難しかった図面解析を、実務で活用できるレベルへと引き上げました。
- 見積自動化の実現
- 加工条件や形状情報をもとに、80%以上の精度で見積を自動生成するシステムを構築。属人的だった見積業務を、再現性のあるプロセスとして実装しました。
- 加工条件や形状情報をもとに、80%以上の精度で見積を自動生成するシステムを構築。属人的だった見積業務を、再現性のあるプロセスとして実装しました。
- AI改善サイクルの高速化
- MLOps環境により、モデル精度の評価と改善をリアルタイムで実施。AI導入後も継続的に性能を向上させられる運用可能なAI基盤を実現しました。
- 暗黙知の形式知化
- ベテラン担当者の経験に依存していた見積判断基準やノウハウを、再現性のある見積ロジックとしてAIに実装。知識の属人化を解消し、誰でも高い精度で見積を作成できる基盤を確立しました。
まとめ・考察
本事例では、図面解析AIの開発だけでなく、見積ロジックの構造化とMLOpsによる継続改善を組み合わせることで、実用的なAIシステムを実現しました。
これにより、属人化していた見積業務をデータ化・自動化し、製造業における見積プロセスの高度化とスケール化を可能にしています。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



