【AI変革事例_金融業界】生命保険の複雑な引受審査を、インタラクティブな対話AIで平準化

膨大なマニュアル確認と複雑なヒアリングを要する生命保険の引受可否審査業務を、生成AIを活用した対話型AIオペレーターによって効率化したAI開発事例です。
代理店とのインタラクティブな対話を通じて傷病状況を適切に把握し、リアルタイムで正確な回答を提供する仕組みを構築することで、応対スピードの劇的な向上とコスト削減に加え、これまで蓄積困難だった未成約データの資産化を実現しました。
監修者

株式会社AVILEN
執行役員 CTO 兼 D&Aソリューション事業担当 / データサイエンティスト
広島大学大学院卒業。コンピュータビジョン、機械学習、ディープラーニング領域を専門とするデータサイエンティスト。複数の国際学会へ査読付き論文の採択実績を持つ。2021年、AVILENに参画。AIソリューション事業の最年少マネージャーとしてIPOをはじめとする事業拡大、SaaS事業の立ち上げからグロースを牽引。データ・AI・デジタルを軸としたビジネスモデルの再構築とビジネスプロセスの根本的な変革を、広範な業界の企業に対して支援を行う。
課題
某生命保険会社では、代理店から保険の引受可否に関する問い合わせが日々発生していました。
傷病状況の詳細なヒアリングと大量のマニュアル確認を手作業で行っていたため、業務負荷が高く、対応に時間がかかっていました。
全国規模で展開されるこの業務は膨大なコストを要しており、扱う情報の組み合わせ(保険の種類 × 病気の種類)が多岐にわたるため、超膨大なデータの中から最適な情報を探索する作業は極めて困難でした。
また、現在は人が対応しているため回答スピードに限界があるほか、契約に至らなかったケースの属性や条件といったデータが蓄積されず、業務に活用できないという課題も存在していました。
ソリューション
生成AIを活用したAIオペレーターを導入し、膨大なマニュアルと複雑な傷病状況を即座に紐付ける仕組みを構築しました。
- インタラクティブなヒアリングの実現
- AIオペレーターが代理店と直接会話を行い、傷病状況を適切にヒアリングします。
- AIオペレーターが代理店と直接会話を行い、傷病状況を適切にヒアリングします。
- リアルタイムの検索・解釈・回答
- 超膨大なマニュアルから最適な情報を検索・解釈し、リアルタイムで保険の引受可否を回答する体制を整えました。
AIが得意とする「膨大なデータからの探索」をフロント業務に組み込むことで、属人的なマニュアル確認作業からの脱却を図っています。
成果
本システムの導入により、コスト削減と応対品質の向上が同時に達成され、データ利活用の土壌も整いました。
- オペレーションコストの削減とスピードアップ
- AIによる自動回答が可能になったことで、オペレーションコストが削減されました。
- 代理店側の待ち時間が短縮され、応対スピードの劇的な向上と業務負荷の軽減を実現しています。
- 対応品質の均一化と判断精度の向上
- 人による知識の差を排除し、常にマニュアルに基づいた正確な判断を提供できる体制を構築しました。
- 人による知識の差を排除し、常にマニュアルに基づいた正確な判断を提供できる体制を構築しました。
- 未成約データの可視化によるナレッジ蓄積
- 従来は成約者データしか残りませんでしたが、AIによる対応を通じて、どのような属性の人がどのような条件で問い合わせたかという全データが蓄積可能になりました。
これにより、これまで捨てられていた情報を今後の業務改善や戦略立案に有効活用できる基盤が整っています。
まとめ・考察
本事例がAI変革と言える理由は、単なる自動化に留まらず、これまで記録に残らなかった「成約前の問い合わせデータ」を資産化し、組織の意思決定プロセスを変えようとしている点にあります。
複雑なマニュアルと個別の傷病状況をリアルタイムで照合するプロセスの変革は、AIの特性を最大限に活かした好例と言えます。
現在はリスクを考慮し、AIの誤答が許容されやすい「社内業務(代理店対応)」から着手していますが、このプロジェクトは将来的な顧客体験(CX)の刷新を狙う先駆けとなっています。
また、ここで得られる「AIがどの程度正確に判断できるか」という実績や「現場導入時の課題」といった学びは、今後AIを直接顧客窓口へ展開する際の強力な武器となります。
ゆくゆくは対顧客の接点にAIを組み込むことで、保険業界全体のサービススピードとアクセシビリティを抜本的に変えていく展開が期待されます。
AVILENが考えるAI変革とは
AVILENでは、AI変革を単発のAI導入や受託開発の積み上げではなく、企業の業務・意思決定・組織を段階的に変えていくプロセスと捉えています。
そのため、AI活用はいきなり大規模に進めるのではなく、段階を踏んで進めることが重要だと考えています。
AI導入は「5つのステップ」で進める
AVILENでは、AI変革を以下の5ステップで整理しています。
- リテラシーをつける
データ・AIの基本理解を揃え、技術の可能性と限界を正しく認識する - ビジョンを描く
AIを使って、どこで競争優位を作るのかを明確にする - Quick Winを実現する
短期間で成果が見えるテーマに絞り、成功体験をつくる - 体制を構築する
人材・組織・データ・システムを含めた推進体制を整える - 活用範囲を拡大する
PDCAを回しながら、AI活用を組織全体へ広げていく
AI変革を支える3つの考え方
この5ステップを進めるうえで、AVILENが大切にしている考え方は次の3点です。
- コア部分から小さく始め、大きく広げる
- 試しながら学ぶ、アジャイルなPDCA
- 外部に頼りきらず、徐々に内製化していく

本事例の位置づけ
本記事で紹介する取り組みは、こうしたAI変革のプロセスの中で設計された一つの実践例です。
AVILENは、「AIを作る会社」ではなく、AIを使って企業の変革を前に進めるパートナーでありたいと考えています。
記事の筆者

株式会社AVILEN
マーケティングチームリーダー / マーケター
立命館大学文学部を卒業後、大手地方新聞社、ビジネス系出版社での編集、広告営業職を経てブレインパッドにマーケターとして参画。2020年にDX、データ活用をテーマにしたオウンドメディア『DOORS -BrainPad DX Media-』を編集長/PMとして立ち上げ、グロース。ブランディングとプロモーションを両立したコンテンツマーケティングで成果を上げ、2022年にグループマネジャーに昇進。2025年7月よりAVILENに参画。



