掃き出し法を用いた逆行列の求め方を例題で解説

更新日

このページでは、掃き出し方を用いて逆行列を求める方法を解説します。

掃き出し法とは

掃き出し法とは、以下のように説明できます。

掃き出し法

行列Aの右隣に単位行列Iをつけ、行基本変形を行い、[I B]に変形する。

この行列Bが行列Aの逆行列A1A^{-1}となる。

n×nn×n行列の掃き出し法は以下のようになります。

掃き出し法で逆行列を求める方法

例題

それでは、実際に掃き出し法を用いて逆行列を求めましょう。

例題

行列A=(122012211)A= \begin{pmatrix}1 & 2 & 2 \\ 0 & 1 & 2 \\ 2 & 1 & 1 \end{pmatrix}の逆行列A1A^{-1}を求めよ。

解答は以下の通りです。

行列Aの右隣に単位行列Iをつけ、(122100 012 010 211 001) \begin{pmatrix}1 & 2 & 2 & 1 & 0 & 0  \\ 0 & 1 & 2  & 0 & 1 & 0 \\ 2 & 1 & 1  & 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}とし、この行列を行基本変形し、[I B]の形になるように意識しながら変形します。

まず、この行列の1行目を-2倍し3行目に加えると次のようになる。

(122100 012  010 033 201) \begin{pmatrix}1 & 2 & 2 & 1 & 0 & 0  \\ 0 & 1 & 2  & 0 & 1 & 0 \\ 0 & -3 & -3  & -2 & 0 & 1 \end{pmatrix}

次に2行目の行列の-2倍を1行目に加え、3行目の行列に13-\frac{ 1 }{ 3 }をかけると次のようになる。

(102120 012  010 011 23013) \begin{pmatrix}1 & 0 & -2 & 1 & -2 & 0  \\ 0 & 1 & 2  & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 1  & \frac{ 2 }{ 3 } & 0 & -\frac{ 1 }{ 3 }\end{pmatrix}

同様に2行目の行列の-1倍を3行目に加えると次のようになる。

(102120 012  010 001  231 13) \begin{pmatrix}1 & 0 & -2 & 1 & -2 & 0  \\ 0 & 1 & 2  & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & -1  & \frac{ 2 }{ 3 } & -1 & -\frac{ 1 }{ 3 }\end{pmatrix}

同様に3行目の行列の-2倍を1行目に加え、3行目の行列の2倍を2行目に加えると次のようになる。

(10013023 010 43 123 001  231 13) \begin{pmatrix}1 & 0 & 0 & -\frac{ 1 }{ 3 } & 0 & \frac{ 2 }{ 3 }  \\ 0 & 1 & 0  & \frac{ 4 }{ 3 } & -1 & -\frac{ 2 }{ 3 } \\ 0 & 0 & -1  & \frac{ 2 }{ 3 } & -1 & -\frac{ 1 }{ 3 }\end{pmatrix}

最後に3行目を-1倍かける。

(100 13 0 23 010  43 1 23 001 23113) \begin{pmatrix}1 & 0 & 0 & -\frac{ 1 }{ 3 } & 0 & \frac{ 2 }{ 3 }  \\ 0 & 1 & 0  & \frac{ 4 }{ 3 } & -1 & -\frac{ 2 }{ 3 } \\ 0 & 0 & 1  & -\frac{ 2 }{ 3 } & 1 & \frac{ 1 }{ 3 }\end{pmatrix}

以上より、[I B]の形に式変形することができました。よって

A1(13 0 23  43 1 23  23113) A^{-1}=\begin{pmatrix} -\frac{ 1 }{ 3 } & 0 & \frac{ 2 }{ 3 }  \\  \frac{ 4 }{ 3 } & -1 & -\frac{ 2 }{ 3 } \\  -\frac{ 2 }{ 3 } & 1 & \frac{ 1 }{ 3 }\end{pmatrix}

となります。

カテゴリ: 線形代数

関連サービス

講座一覧ページ

記事一覧はこちら

無料で統計学を学ぶ